表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/208

第200話 暗い海底から

かれが、ドラゴンに変化へんげしたのデスか?」


 ライラックさんのことを一通ひととおはなしたあと、プルねえ開口一番かいこういちばんにそういいました。


「そうだね。実際じっさいたから間違まちがいないよ」

「どういうこと? ライラックにそんなちからはなかったよね? ばあちゃん」

「そうデスねぇ。もしかしたら、レヴィアタンの仕業しわざかもしれないデス」

「たしかに、アイツならありえるかもしれません」


 ここで魔神まじんレヴィアタンの名前なまえてくるんだ。


 つまり、ライラックさんがレヴィアタンにだまされた結果けっか邪龍じゃりゅうベルガスクに変化へんげできるようになった。

 っていうこと?


「ライラックはレヴィアタンのことをらないんスか?」

「ううん。ってるはずデス」

「じゃあどうして、だまされてるんスか?」

「レヴィアタンは変幻自在へんげんじざい姿すがたたくみな話術わじゅつで、ひとだますのが得意とくいなのデス」

「もしくは、なんらかの取引とりひきをしたのか……」


 ホリーくんつぶやきで、みんなだまんだよ。


 ライラックさんがレヴィアタンと取引とりひきをした?

 そんなこと、ありるのかな?

 正直しょうじきわたしはそんなにライラックさんをくわしくってるわけじゃないからなぁ。


 そういう意味いみでは、プルウェアさんたちの意見いけんになるけど。


 でも彼女かのじょたちはもう何百年なんびゃくねんもライラックさんにってないってことなんだよね?

 そんな状態じょうたいかんがえて、ホントにかれのことを推測すいそくできるのかな?


 もう、いっそのこと一緒いっしょ地上ちじょうって、ライラックさんをさがしたほうがいいんじゃない?


 きっとそのほうがいいがする。

 ここはさむいから、そろそろ地上ちじょうもどりたいしね。


「ねぇプルウェアさん。ここでかんがえてても仕方しかたがないから、一緒いっしょ地上ちじょうがろうよ!」

地上ちじょうにデスか? デスが……」


 わたし提案ていあんいてかおくもらせたのは、プルねえでした。

 まぁ、なんとなくそんなはしてたけどね。


 たいするプルちゃんは、おおきく右腕みぎうでげながら宣言せんげんしてくれたよ。


「アタシは賛成さんせいデス!!」

「そうねぇ。そろそろ、決断けつだんするときたのかもしれないデスねぇ」

決断けつだん……」


 プルばあわたし提案ていあんってくれるみたいだね。

 そうなったらあとは、プルねえ説得せっとくするだけなのです!


 説得せっとくするためにはまず、彼女かのじょなにまよってるのか必要ひつようがあるよね。


「プルねえは、なにか心配事しんぱいごとでもあるの?」

地上ちじょうがるだけなら、それほどむずかしくはないのデスが。このまちほうっておくわけにはいかないのデス」


 なるほど、このまちのことが心配しんぱいなんだね。

 ライラックさんをさがすとなれば、時間じかんもかかるかもだし。


「それじゃあ、まちごと地上ちじょうがればいいんじゃないかな?」

「それをしようとしたら、レヴィアタンのしもべがジャマしてくるんデスよ!」


 ホリーくん結構けっこう大胆だいたんなことうよね。

 だれ影響えいきょうなのかな?

 まさか、わたしじゃないよね?


 一瞬いっしゅんわたしも、こおり巨人きょじん使つかえばできるんじゃ?

 なんておもったんだけどね。


 まぁ、それはいておくとして。

 もっとになることを、プルちゃんがったよね。


しもべ?」

「クラーケンという魔物まものデス。8ほん強靭きょうじんうでで、まち破壊はかいしようとしてくるのデス」

「ク、クラーケンって、本当ほんとう存在そんざいしてるんですか!?」

「していますよ」


 カルミアさんがおどろいてるや。

 そんなにおそろしい魔物まものなのかな?


 でも、まぁ。

 きっとわたしならなんとかできるんじゃないかな?

 っていうか、なんとかするべきだよね。


かった。それじゃあそのクラーケンは、わたしがなんとかしてみるよ」


 8ほんうでってる魔物まものなんて、アラクネさんたちしかたことないからね。

 ちょっとになるのです。


 プルウェアさんたちとカルミアさん、それにホリーくんからクラーケンのことをいたわたしは、対策たいさくかんがきました。


 まぁ、実際じっさいてみないとからないこともあるとおもうけど。

 そこは臨機応変りんきおうへん対応たいおうしましょう。


 そうしてようやく、おおきなためいきをついたプルねえいました。


「わかりました。その提案ていあんけましょう」

「やっとそのおもたいおしりげるになったんデスね!」

だれのおしりおもたいデスって!?」

「アンタにまってるデス! おおきくておもたいじゃないデスか」

「そういうアナタは、なにもかもちいさいデスよね」

「なんデスとぉ!?」


 喧嘩けんかはやめてほしいなぁ。


 にらみいをはじめてるプルねえとプルちゃん。

 二人ふたり横目よこめに、わたしたちは準備じゅんびすすめます。


「それじゃあ、出発しゅっぱつしよう! ホリーくんたちは、ここで待機たいきしててよね」

かったよ」

「そうっスね。おれたちにできることはなさそうっスから」

「リグレッタ殿どの、おをつけて」

「うん、ありがと」


 てついたおしろ三人さんにんとおわかれしたわたしは、プルちゃんと二人ふたりこおり巨人きょじんひざあたりにかいました。


うみたあと、アタシはまち浮上ふじょうさせるための水流すいりゅうつくりにかうデス。クラーケンはまかせたデスよ?」

「うん。プルばあこおり巨人きょじん操作そうさして、プルねえまち防御ぼうぎょをするんだよね?」


 つまり、誰一人だれひとりとして失敗しっぱいできないわけです。


 あらためて作戦さくせん確認かくにんしたわたしたちは、膝先ひざさきにあるこおりあなけて、海中かいちゅうしました。


 全身ぜんしんおお空気くうきそうつくってるから、直接ちょくせつれるわけじゃありません。


 でも、そのままじゃ海中かいちゅう移動いどうできないから、やっぱりむしかないんだよね。


「うぅぅ……つめたいぃ」

 指先ゆびさきいたいよぉ。


 でも、みずれたことで水流すいりゅう使つかって移動いどうできるようになったのです。

 そうしてまずかった場所ばしょは、ちかくの岩場いわば


 くらなにえないけど、一応いちおうたどりけたみたいだね。


 ここで、巨大きょだいいわいかりつくります。

 さすがに武器ぶき必要ひつようだからさ。

 クラーケンのおおきさがイゼルのまちおなじくらいだってうから、かなりおおきめにつくったよ。


おもたいけど……水流すいりゅう使つかえばっていけそうかな」


 そうして出来上できあがったいかりをもって、こおり巨人きょじんほうもどります。


 ほのかにひかりはなってるこおり巨人きょじんは、くら海底かいていですごく目立めだってる。


 おっと、とれてる場合ばあいじゃなかった。


 こおりのドームにおおわれたまちかかえた巨人きょじんが、ゆっくりとがりはじめてる。


 そんな様子ようすながめているあいだにも、いつクラーケンがおそかってくるかからないのです。


 まぁ、たましいえるわたしには、全部ぜんぶ見通みとおしなんだけどね。


たね!! それじゃあ、りのはじまりだよ!」


 これはまだわたしちいさいころに、とうさんがってたことなんだけど。

 どんなにつよけものでも、その特性とくせいをよく理解りかいして、つよみをふうじることができれば、があるんだよね。


 そういったとうさんは、かたあたま駆使くしした突進とっしんおそってくるイノシシを、ぬまめてってたのです。


 というわけで、今回こんかい獲物えものであるクラーケンは、8ほんうで脅威きょういみたいだから。

 全部ぜんぶからめとって、身動みうごきがれない状態じょうたいにしてあげましょう。


 さっきつくったいかりを、せまってくるおおきなたましいけてげる。

 そうして、前進ぜんしんはじめたわたしは、いかり複数ふくすう触手しょくしゅくのを確認かくにんしました。


いまだっ!!」


 クラーケンのうでには吸盤きゅうばんいてて、獲物えものがさないってはなしだったからね。

 それを逆手さかてりましょう。


 いたクラーケンの触手しょくしゅからめながら、わたしいかりおもいっきり回転かいてんさせます。


 まるで、ロープをときみたいに、触手しょくしゅいてくね。

 異変いへん気付きづいたクラーケンが、ほか触手しょくしゅいかりとおざけようとするけど、その触手しょくしゅからめちゃうもんねぇ


 うおっと!!

 クラーケンがあばはじめちゃった。


 でも、もうおそいよ。

 だって、触手しょくしゅのほとんどがいかりられちゃって、簡単かんたんにはほどけそうにないみたいだから。


「ごめんねぇ。あとでほどきにもどってあげるから、ちょっとそこでっててねぇ」


 こえるはずはないんだけど、そうったわたしは、さっきの岩場いわばにクラーケンきのいかりほうげました。


 そうしているあいだにも、こおり巨人きょじんはる頭上ずじょう海面かいめんかって浮上ふじょうしていきます。


 それじゃあ、わたしこうかな。

 どうでもいいけど、これだけふか海底かいていになると、海面かいめんかがやきもえないんだね。


 あとで、ハナちゃんにおしえてあげよう。

 きっとらないよね。


 そういえば、プルウェアさんたちもそと世界せかいるのはひさしぶりなんだよね。


 せっかくだし、いろいろと案内あんないしてあげたいけど。

 さすがに、すこあとになっちゃうかな。


 どうおもうんだろうなぁ。

 わたしもりときは、すごくワクワクしてたけど。


 おなじだったらいいなぁ。

 そんなことをかんがえながら、わたしくら海底かいていからそと世界せかいはじかいはじめたのでした。

面白いと思ったらいいねとブックマークをお願いします。

更新の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ