表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/208

第175話 また会う日を楽しみに

「いいですか? オーデュ・スルスの街並まちなみはれたものじゃないとまよってしまうくらいんだものになっています。とおくに大聖堂だいせいどうえたからとって、まっすぐにすすんではいけません。かならわたし指示しじどおりにすすんでください!」


 オーデュ・スルスの東門ひがしもんまえせまったころ、シルビアさんがそうさけびました。


かった!」

まんいちまよった場合ばあいおおまかにまち中央ちゅうおう目指めざせばいいんスよね?」

「そのとおりです!」


 シルビアさんとキルストンさんのはなしだと、まち三日月みかづきみたいなかたちをしているそうです。

 そんなお月様つきさまのおなかあたりがまち中心ちゅうしんになってて、うみめんするかたち大聖堂だいせいどうそびえてるみたい。


 不思議ふしぎまちだよね。

 できれば、リッタたち一緒いっしょにゆっくりとまわりたかったけど。

 いまはそんな時間じかんいみたい。


霧雨きりさめ? これもティアマトの仕業しわざのようですね」


 おいたんのとおり、オーデュスルスにちかづいたとたんにあめはじめたよ。


 ほんとなら、この霧雨きりさめれるだけでも眠気ねむけおそわれたのかもしれないね。

 でも、いまわたしたちにはかないのです!


 なぜなら、万能薬ばんのうやくをヘビの姿すがたげたを、全員ぜんいんくびいてるからね。


 このはだれてるかぎり、ある程度ていど眠気ねむけはかきしてくれるはずです。

 ちなみに、ヘビくんみんな死角しかく警戒けいかいしてくれる役割やくわりになってるよ。


「この程度ていどなら全然ぜんぜん万能薬ばんのうやく消耗しょうもうしないね」

「とはいえ、油断ゆだん禁物きんもつっスよ」


 わたしひとごとってはいってたカッツさんが、大量たいりょうふくろをテラスのなかきました。


「これは予備よび万能薬ばんのうやくっス! ヘビがちいさくなってきたら、コイツをわせれば回復かいふくするはずっスから、一人ひとり一袋ひとふくろっとけっス!」

「ありがとう、カッツさん!」

りなくなったらおれかフレイにってくれ。作業場さぎょうばからはこんでるっスから」


 そうったカッツさんはあし階段かいだんりてったよ。

 一応いちおう、テラスにはフレイくん伝令役でんれいやくとしてのこってるみたいだね。


 そうこうしてると、私達わたしたちはついに東門ひがしもん到着とうちゃくしました。


 よしっ!

 ここからがわたしのお仕事しごとだねっ!


「みんな、衝撃しょうげきすごいかもだから、なにかにつかまっててね!」


 そうさけびながらテラスからりたわたしは、サラマンダーのあたま着地ちゃくちしたよ。


「さぁ、サラマンダー。リッタをこしにこう!」


 そうってかれあたまでつけた途端とたん、サラマンダーはそのおおきなくちけてまえせまもんねらいをさだめました。


 直後ちょくごはなたれた火球かきゅう東門ひがしもん命中めいちゅうします。


つかまえた!!」


 火球かきゅうがはげしく炸裂さくれつしたときまれた爆風ばくふうつかまえ、わたしかぜたてったよ。


 まちがどれだけ水没すいぼつしてるかからないから、ねんにはねんをってかんじの対策たいさくだったけど。

 やっぱり、やっててよかったぁ。


 爆風ばくふうじって、大量たいりょうみずもんからながしてたのです。


 さすがはホリーくんだね。


 かぜたてのおかげで、テラスには飛沫しぶきとどいてないみたいだし、このまますすんじゃおう!


 もんあなけたってことは、水槽すいそうあないたってことだからね。


 ティアマトがなに対策たいさくってくるまえに、うごかないと。


 まちなかってたみずは、ひざくらいまでのふかさまでまってたみたい。


 これくらいならネリネですすめる。

 でも、一歩いっぽでもネリネからりちゃったら全員ぜんいんあぶないかもしれません。

 とされないようにけないと!


全員ぜんいん! シルフィード・ドラゴンをさがせ! 見落みおととすな!」


 うえのテラスから、おいたんのこえこえてた。

 作戦さくせんどおり、カルミアさんとキルストンさんそれからホリーくんやシルビアさんたちとで手分てわけして、まちなからしてるみたいだね。


 それにくわえて、まちなかおくれてる人々(ひとびと)さがしてるはずだよ。


 どちらもつけ次第しだいわたしこえがかかるはず。


 それまでは、わたしわたし仕事しごとをちゃんとたさなくちゃ。


 そうおもって、サラマンダーのあたまからがったとき、おいたんのこえひびいたのです!


うえだ!!」


 こえみみにしたのと同時どうじに、わたしおもりのちからめてかぜたてをネリネの頭上ずじょう展開てんかいした。


 直後ちょくご、ボフンッっておとともなにかがはじけて、大量たいりょう水飛沫みずしぶき周辺しゅうへん建物たてものそそぎました。


あぶなかった!!」

「ハナちゃん! 頭上ずじょうけてください! ティアマトがつぎからつぎみずんできてます!」


 カルミアさんの警告けいこくどおり、さっきのはティアマトのはなった巨大きょだい水弾すいだんだったみたいです。


 あやうくネリネごとあたまからみずかぶるところだったよ。


 アリさんにとってのあめって、こんなかんじなのかもしれないね。


「サラマンダー! できるかぎりティアマトのあめけてすすんでほしいな!」


 そんな要望ようぼうしつつ、わたし一度いちどテラスにがりました。


「みんな、大丈夫だいじょうぶ!?」

「はい! なんとか!」


 すりにつかまりながら返事へんじをしてくれたカルミアさんは、ちょっと気分きぶんわるそうだね。

 それ以外いがいみんな問題もんだいなさそう。


 ひとになることがあるとすれば、すりやゆか一部いちぶがちょっとだけれてることかな。


「もしかして、飛沫しぶきがとんできてた?」

建物たてものちたみずねてただけだ! それくらい、自分じぶんらでけれるだろ」


 キルストンさんは自信じしんがあるみたいだね。

 でも、まんいちかんがえるなら、わたしなんとかしなくちゃ。


「ハナちゃん! みなみ建物たてもの人影ひとかげが!」

「そろそろ進路しんろきたけるべきですわ!」

「またティアマトのあめってくるよ!!」


 色々(いろいろ)一気いっききすぎだよ!!


 ほぼ真上まうえからそそいでるティアマトのあめ


 まずはそれをしのぐためにかぜたて頭上ずじょう展開てんかいしたわたしは、にしたのです。


 はじけとぶ大粒おおつぶあめ

 飛沫しぶき


 それらのさらにこうがわとおたかはなれた場所ばしょにリッタのたましいがポツリとあります。


 間違まちがいない、ティアマトの身体からだなかにリッタはるんだ。


つけた!!」


 うれしいはずなのに、素直すなおよろこべない状況じょうきょう


 どうするべきなのか。

 じっくりとかんがえる時間じかんしいけど。

 せるいろんな情報じょうほうが、わたしあたま圧迫あっぱくしていくのです。


「そのさき分岐ぶんき進路しんろきたに!!」

報告ほうこく! 北側きたがわ建物たてもの屋根上やねうえを、魔物まものらしきかげってきています!! うぷっ」

「あれはケルピーだ! みんな、テラスからきずりとされないようにけて!」


 屋根やねからうつろうとしてくる馬型うまがた魔物まものケルピーを警戒けいかいしながら、ネリネはきたけて進路しんろえました。


 同時どうじかってるケルピーたち


 そのほとんどはかぜたてばせたんだけど。

 1とうだけ、テラスへの侵入しんにゅうゆるしちゃった!


「ごめん! わたしがっ!」


 そういながら、かぜ対処たいしょしようとしたわたし視界しかいを、ひとつのかげさえぎります。


「テメェはテメェの仕事しごと集中しゅうちゅうしてろ!」


 にもとまらぬはやさでナイフをったキルストンさん。

 すると、着地ちゃくちしたばかりのケルピーがちからなくたおれちゃったよ。


 でも、そんな様子ようすをボーっとてるわけにはいかないよね。


 リッタの居場所いばしょかった。

 大聖堂だいせいどう場所ばしょかってる。

 おくれたひとたちも、たましいうごきをかぎりでは各々(おのおの)安全あんぜん場所ばしょあつまってるみたい。


 あとは、ティアマトをどうにかするだけってかんじだね。


 状況じょうきょうはどんどん悪化あっかしてくばかりだけど。

 まだあきらめるにははやすぎます。


 そうだよね?

 リッタ。


 そそぐティアマトのあめと、おそ魔物達まものたち


 それらをくぐりながらすす私達わたしたちは、そこでようやくつけたのです。


「ハナちゃん! 見つけました!! シルフィード・ドラゴンです!!」

「どこっ!?」


 前方ぜんぽう見張みはってたおいたんがゆびさすほう


 建物たてもの合間あいまからかくれする大聖堂前だいうせいどうまえ広間ひろま


 そこにたしかに、よこたわって藻掻もがいてるシルフィードドラゴンがいたのです。


 藻掻もがいてる理由りゆうはすぐにかったよ。

 だって、全身ぜんしんみずりついてるからね。


広場ひろばについたら、わたしはシルフィード・ドラゴンの救出きゅうしゅつかうね! そのあいだ、ティアマトの攻撃こうげきをやりごせる!?」

「やってみないとかりませんわ」

「やってもらわないとこまるんですが」

出来できもしねぇやつがえらそうにうんじゃねぇよ」

喧嘩けんかしてる場合ばあいじゃないでしょ!! ハナちゃん! ボクもできることを全力ぜんりょくでやるから、そっちはまかせたよ!」


 ホリーくん言葉ことば皮切かわきりに、ネリネの屋内おくない退避たいひしてくみんな


 テラスにのこされたのは、わたしとシルビアさんだけ。


 そんな彼女かのじょに、かぜせてすくげたみずをいくらかわたしたわたしは、不安ふあんげな彼女かのじょげました。


大丈夫だいじょうぶだよ。このネリネは、リッタと一緒いっしょわたしたちがつくったおうちなんだから。あめかぜしのいでくれるはずだよ!」

「……そうですわね」

「それじゃ、またあとで!」


 大聖堂前だいせいどうまえ広場ひろばすネリネ。


 ここからが正念場しょうねんばってやつだね。


 まずは、広場ひろばなか藻掻もがいてるシルフィード・ドラゴンをたすけないと。


「それじゃあ、こっか」


 そうってわたしは、準備じゅんびしていたほうきとシーツをしました。


 ほうきぶのをサポートしてもらうために、またがります。

 シーツはなるべくれるのをふせぐために、羽織はおります。


 相手あいては、うみのようにおっきなティアマト。


 ちょっぴりこわいけど、きっとわたしならできるはず。


 だってわたしは、リッタから沢山たくさんもらったんだから。

 知識ちしき経験けいけんいのちもね。


 これはわたしなりの恩返おんがえしなんだよ。


 リッタには、安心あんしんできる場所ばしょでぐっすりねむってもらいたいんだもん。


 それはティアマトのなかなんかじゃないよ。


『またたのしみに』


 そんなおもいをめて名付なづけたおうちが、わたしたちにはあるんだから。


 そのおもいのおかげで、わたしかえってくることが出来できたんだから。


 今度こんどは、わたしむかえにってもいよね?

 っていうか、まだまだ一緒いっしょたいんだから、このままかえってこないとかわせないんだからね!

面白いと思ったら、いいねとブックマークをよろしくお願いします。

更新の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ