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第160話 笑えない冗談

 デシレさんをつかまえることに成功せいこうした私達わたしたちは、そのままきりもりしました。


 気絶きぜつしてるかれふところから、プルウェアのなみだはいった小瓶こびんつけせたのがかったみたい。

 おかげで、しん警戒けいかいする必要ひつようもなくすすめたんだからね。


 道中どうちゅういけまよんでたひとたちもたすけることが出来できたんだよ。


 まぁ、たすけるっていうより道案内みちあんないをしてあげたってかんじだけどね。


 気絶きぜつしてるデシレさんをせてあげたら、ほとんどが素直すなおいててくれたのです。


「まるで人質ひとじちってるみたいっスね」

「いいえ、かれらにとってこのおとこ恐怖きょうふ対象たいしょうでしたので、むしろ死神しにがみちた様子ようす安心あんしんしているのでしょう」


 シルビアさんもカッツさんも、そういうはなし本人ほんにんまえでしないでしいんだけどなぁ。


 まぁ、きっとホントのことだからにしても仕方しかたないのかな。


 ホントのことだからこそ、わたしはプルウェアって神様かみさま文句もんくいたいんだけどね。


 自分じぶんいのちうしなってしまうかもしれないっていう恐怖きょうふ

 大切たいせつひとうしなってしまうかもしれないっていう恐怖きょうふ


 そんな恐怖きょうふひと選択肢せんたくしあやつってしまったら、納得なっとくできる選択せんたくなんてできっこないのです。


きりうすくなってきたよ!」

「やっともりそとれるっスか」

油断ゆだん禁物きんもつだ。カッツ、周囲しゅうい様子ようすをしっかりと見張みはるように」

かってるっスよ」


 見張みはりをつとめてるハナちゃんとベルザークさんとカッツさんは、気合きあいはいってるみたいだね。


 まぁ、やっと薄暗うすぐら環境かんきょうからせるからね。

 正直しょうじきわたしのぞんでたよ。


 えず、れちゃってるふく着替きがえて洗濯せんたくしたいかな。


「お日様ひさまだぁ!」


 しずみかけの太陽たいようゆびさしてさけぶハナちゃん。


 どうやら、一日いちにちかけてもりすことが出来できたみたいです。

 みじかいようでながかったよ。


 みず補給ほきゅうはしっかりと出来できてるから、はやあたたかいお風呂ふろはいりたいね。


 みんなおなじことをかんがえてたのかな。

 もりけた私達わたしたちは、誰一人だれひとり反対はんたいすることなくもりのすぐそば一晩ひとばんごすことにしたのです。


 しっかりと身体からだやすめて、翌日よくじつ


 私達わたしたちはいくつかのあたらしい問題もんだい直面ちょくめんしていました。


どろんこだらけだね」

「そうだねぇ」

泥合戦どろがっせんしてきていい?」

よごれるから、また今度こんどにしておこうねぇ」

「えぇ~」

「ハナちゃん。ここはもうプルウェア聖教国せいきょうこく領土内りょうどないふかはいんでいるのです。油断ゆだん禁物きんもつですよ」

「はぁ~い」


 きりもりけたさきひろがってたのは、だだっぴろ沼地ぬまちでした。


 きりもりなか足元あしもとはぬかるんでたけど、ここはもう、そんなやさしい表現ひょうげんじゃりません。


 サラマンダーですらあしられるくらい、ふかぬまなんだよね。


 プルウェア聖教軍せいきょうぐんひとたちって、戦争せんそうがあるたびにこんなみちすすんでるんだね。

 すごいや。


 とおもってシルビアさんにいてみたら、ぬまあさくないみちがあるんだって。


 とはいえ、そんなほそみちをサラマンダーがとおれるわけく、こうして私達わたしたち大幅おおはば足止あしどめをらっているのです。


 地面じめんあるいてるプルウェア聖教せいきょうひとたちのほうが、あゆみがはやいよ。


 なにか対策たいさくかんがえないとだね。


 それとはべつに、まだ問題もんだいがあるのです。


理解りかいできんな。なぜわたしかしている?」

「そんなにきてるのが不服ふふくなの? わたし反対はんたいしなかったら、結構けっこうあぶなかったんだからね?」


 手足てあし拘束こうそくされた状態じょうたいでテラスの椅子いすこしろしてるデシレさん。


 昨日きのう、ベルザークさんにたておもいっきり顔面がんめんなぐられたかれは、今朝けさようやくましたのです。


 あれはいたそうだったなぁ。


 そんなことはおいといて、いまかれとの貴重きちょう対話たいわ集中しゅうちゅうしなくちゃだね。

 まぁ、対話たいわつかはかんないけど。


「とりあえず、サラマンダーとネリネにあなけたことはちゃんとあやまってよね」

「ふんっ。あやまらせたいのであれば、まずはこの拘束こうそくいてもらおうか」

「そんなことできないよ。だって拘束こうそくいちゃったら、あばれるでしょ?」

たりまえだ」


 素直すなおだよね。

 だからこそ、解放かいほうできないんだけどさ。


謝罪しゃざいはもういいや。わりにおしえてしいんだけど、きりもりなかなにがあったの? どうしてみんなバラバラになっちゃってたの?」

「……おしえるとおもっているのか?」

すこしくらいいじゃん」


 かる駄々(だだ)をこねてみたけど、無視むしされちゃったよ。

 当然とうぜんかな。


 すると、すこはなれた場所ばしょ私達わたしたち会話かいわいてたらしいキルストンさんが、ちいさく失笑しっしょうらしたよ。


「やっぱり、そいつはころしとくべきだぜ」

結論けつろんはやいよねぇ」

「こういうのは、はやほういにまってるだろ。じゃねぇと、テメェの寝首ねくびられるぞ」


 それはかってるんだけどさぁ。

 そんなはやあきらめたくはいんだよね。


 不眠の山(インソムニア)ったときからずっと、わたしはデシレさんにあらわせないようなモヤモヤをかかえちゃってるのです。


 なんとなく、原因げんいんかってるんだけどね。


 かれ恐怖きょうふひと選択肢せんたくしあやつっていたから。


 それがゆるせなくて、めたくて。

 なんとか説得せっとくしたいんだけど、出来できないんだよ。


 どうしてなんだろ?


 ここで対話たいわめちゃったら、きっとキルストンさんのとおり、いのちうばうことでしかめられないがするんだ。


 きっと、根本的こんぽんてきなにかが、わたしとデシレさんのあいだにあるんだ。

 それがふかみぞなのか、おおきなかべなのかはかんないけど。


 ……根本的こんぽんてき


 そんなはなしができるほどわたしとデシレさんは仲良なかよくないからなぁ。

 どうしよう。


 そんなことをかんがえてると、ずっと様子ようすてたらしいホリーくんが、ゆっくりと近付ちかづいてきました。


「あの……もしよかったら、ボクもぜてもらっていいですか?」

「ん。なにかはなしたいことでもあるの?」

はなしたいことというよりは、きたいことかな」


 そうったかれは、いつものようにメモとペンをにすると、デシレさんに質問しつもんげかけました。


「そもそものはなしになるんだけど、プルウェア聖教せいきょうはどうして解放者リリーサー悪人あくにんだとさだめたのかな?」


 あれ?

 それって、解放者リリーサーがプルウェア聖教せいきょうおしえにはんする存在そんざいだからじゃなかったっけ?


 これはホリーくんってるはずだよね?

 なんだったら、にしてるメモにかれてるとおもってたけど。


 ちょっとだけ混乱こんらんしたわたしは、直後ちょくご、ホリーくんちいさくうなずいたことにきました。


 やっぱり、おぼえてるみたいだね。

 ってことは、あえてその質問しつもんをしたってこと。

 なにかかんがえがあるってことでしょう。


 そんなかれ思惑おもわくってからずか、デシレさんがくちひらきます。


「ここでそのようなことをくのか。わらえん冗談じょうだんだ」

「それはどういう意味いみですか?」

おぼえておけ。このバレン沼地ぬまちにはな、かつて死神しにがみ殺戮さつりくひろげたっていう過去かこがあるんだよ」

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