表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/208

第142話 泥合戦

 わたしたちがネリネのテラスで会食かいしょくをしているあいだに、プルウェア聖教軍せいきょうぐんすこしずつ撤退てったいはじめたようです。


 やっと、戦争せんそう無意味むいみさにいてくれたのかな?

 それとも、なにたくらんでるのかな?


 真偽しんぎからないけど、どのみちわたしたちがにするべきことはもっとさきにあるんだよね。


 そのさき見据みすえて、わたしいま、ネリネの修復しゅうふくんでいます。

 ちなみに、ハナちゃんはノームのミノタウロスさんと一緒いっしょ解放者リリーサーじゅつ練習れんしゅうしてるよ。


 自分じぶんまもるためにも、ある程度ていど使つかえるようになっててもらわないとだからね。


 練習方法れんしゅうほうほうはズバリ、ハナちゃんぐんとミノタウロスぐんかれての泥合戦どろがっせんだよ。


 まえもりなかでやった雪合戦ゆきがっせん応用おうようだね。

 でも今回こんかいは、ハナちゃん自身じしんどろのゴーレムをさなくちゃいけないから、難易度なんいどはかなりがってるはずです。


「あぶないっ! ちょっとみんな、もっとどろげてよぉ! ぶへぇ!」


 大地だいちつかさどってるノームのミノタウロスさんは、かなりごわいみたいだね。

 いま派手はで泥団子どろだんごかおけちゃってるよ。


 ハナちゃんはまだまだゴーレムのつくみがあまいみたいで、ミノタウロスさんのほう優勢ゆうせいだ。


 でもまぁ、たのしそうではあるのかな。

 いなぁ。

 わたしざりたいなぁ。


 ダメダメ!

 わたしはいったら、絶対ぜったいあまやかしちゃう自信じしんがあるのです!

 ってうか、あまやかしたい。


 だけど、それだとハナちゃんのためにならないよね。

 ここはグッと我慢がまんして、見守みまもることにしましょう。


 そんなことをかんがえながらネリネの修復しゅうふくをしてるわたしに、ベルザークさんがこえけてきました。


「リグレッタさま本当ほんとうくのですか?」

「うん。ここはとても居心地いごこちいけど、ずっとお世話せわになるわけにはいかないし。それに、かあさんのこともになるからさ」

れいの、聖女せいじょのことですね」

「そうそう。ホリーくんってたけど、過去かこあがめられてたなら、きっとなに資料しりょうとかがのこってるんじゃないかってはなし調しらべてみる価値かちはあるとおもうんだよ」


 聖女せいじょとしてあがめられていたソラリスかあさんが、われるになってしまった。


 その結果けっかおおくの資料しりょうされちゃった可能性かのうせいたかいらしい。

 けど、ぎゃくえば、何故なぜわれるになってしまったのかは、ることが出来できるかもしれないよね。


 歴史れきししるしてきたのは、つね勝者しょうしゃなんだ。


 そうかたったホリーくんは、ブッシュ王国おうこく王子おうじとして、どんなおもいをいだいてたんだろう?


かあさんたちがわれてた理由りゆう。それがかれば、わたしがプルウェア聖教国せいきょうこくひとたちと仲直なかなおりするがかりがつかるかもしれないよね」

失礼しつれい承知しょうちもうげますが、あまり期待きたいはしないほういとおもいます」


 じゃあ、なにをすればいいのかな?

 ベルザークさんのいたいことはかるんだけど、わりになにをすればいいのか、明確めいかくにはおしえてくれないよね。


 まぁ、それこそ自分じぶん選択せんたくするべきことだから、おしえてもらおうなんてかんがえるのも、へんなはなしなのです。


 でも、ちょっとだけ意地悪いじわる質問しつもんをしたくなっちゃうのは、ゆるしてしいなぁ。


「ベルザークさんは、期待きたいせずに絶望ぜつぼうして、全部ぜんぶ退けちゃえばいっておもってるの?」

「そ、そんなことはっ……。いえ、そうですね、結果的けっかてきには、それとおなじことをっているとおもいます。げんに我々《われわれ》は、戦争せんそうというかたちで、それを実践じっせんしてきたのですから」

「そっか」


 なんか、おもってたよりおもたい空気くうきになっちゃったよ。

 なんとかフォローしなくちゃ。


「まぁ、仕方しかたないんじゃない? きっとわたしってることって、綺麗きれいゴトだもんね」

「……」


 ベルザークさんやカッツさんがどんなふうかんがえてるのか、なんとなく理解りかいしてるつもりだよ。


 これに気付きづけるようになったのは、きっとクイトさんと出会であったからだね。

 それと、ラフじいにも、色々(いろいろ)おそわったがするよ。


 いつかのよる、ネリネのテラスでわたしれようとしてきたクイトさん。


 あのときわたしは、クイトさんにもラフじいにも、なにうことが出来できなかったんだよね。


 いまも、彼女かのじょわれた『後悔こうかいえる方法ほうほう』について、こたえはわせてないのです。


 でもね、あのときラフじいった言葉ことば意味いみは、すこしだけかるようになったがするんだよ。


「みんながみんなわたしみたいにつよいわけじゃない、かぁ」

「リグレッタさま?」

「ベルザークさん。わたしってつよいのかな?」

「それはもちろん。つよいとおもいます」

「そっか」


 ベルザークさんがうのなら、きっとホントなんだよね。

 だからこそ、わたしにはわたしにしかできないやりかたがあるんだ。


 ハナちゃんがよみがえったのなんか、一番いちばんかりやすれいだよね。


 クイトさんが、ハナちゃんのきたこといたら、どうおもうのかな。

 きっと、うらやましいっておもうんだろうなぁ。

 だって、わたしおな立場たちばだったら、きっとそうおもうもん。


「あの、リグレッタさま

「なに?」

「えっと、ネリネが……」

「あっ!!」


 いけない!

 かんがえゴトに集中しゅうちゅうしちゃってたせいで、へんかんじに修復しゅうふくしちゃってた。


 余計よけいかべさせちゃったよ。

 ダメだねぇ。

 ハナちゃんにじゅつおしえるなんて、えらそうなことえないじゃん。


 修正しゅうせいはすぐにわったけど、なんか、モヤっとしちゃいました。


 でもまぁ、いかな。

 わたしだってまだまだ成長せいちょう途中とちゅうなのです。


 いつか、クイトさんにったときむねってはなしができるようにならなくちゃ。


さきはまだまだながいからね。ベルザークさんも、よろしくおねがいね」

「っ!? はい! もちろんです! こちらこそ、よろしくおねがいいたします!」


 深々(ふかぶか)とお辞儀じぎをするベルザークさん。

 れくさいかんじをかくすために、わたし作業さぎょう集中しゅうちゅうしました。


 そうして、出来上できあがったネリネをサラマンダーの背中せなかせます。


 クマさんとはちがって、ひくいサラマンダーの背中せなかは、比較的ひかくてきせやすいです。


 そのわり、ネリネに直接ちょくせつねつつたわらないように、いわ甲羅こうら準備じゅんびしなくちゃだったけどね。


「これじゃあ、トカゲっていうより、かめっスね」


 作業さぎょうわるころにあらわれたカッツさんが、そんなことをいます。


「まぁ、機能性重視きのうせいじゅうしだよね」

「でもなぁ、なんていうか、ダサいってうか」

なに? 文句もんくがあるの? それじゃあカッツさんだけは、サラマンダーのかした温泉おんせんれてあげないからね」

「じょ、冗談じょうだんっスよ! 最高さいこうっス! かめ、サイコー!」


 馬鹿ばかにしてるよね。

 でもまぁ、カッツさんらしいかな。


「ふぅ。これでネリネの準備じゅんびわったね」


 それじゃあ、ハナちゃんの泥合戦どろがっせん見学けんがくでもこうかな。


 ハリエットちゃんやフレイくんが、ハナちゃんの応援おうえんてるみたいだし。

 わたしぜてもらおう。


 もちろん、応援おうえんにだけどね。

面白いと思ったら、いいねとブックマークをよろしくお願いします。

更新の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ