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はぐれ死神リグレッタ、終の棲家で母になる  作者: 内村一樹


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140/208

第140話 自分で自分を

「それじゃあハナちゃん。キミが過去かこってからなにがあったのか。かせてもらうことは出来できるかな?」

「うん」


 みじか一言ひとこと肯定こうていしたハナちゃん。

 だけど、みんな視線しせんそそがれてるからかな、ちょっと緊張きんちょうしてるみたい。


 しずかに、わたしそでにぎってたよ。


 ダメだぁ。

 こんなの、ニヤケちゃうって!


 くんだよ、わたし

 いまは、ハナちゃんのはなしかなくちゃなんだから。


大丈夫だいじょうぶ? ハナちゃん」

大丈夫だいじょうぶだよ」

「ホリーにいさん。質問しつもん形式けいしきはなしいてあげたほういんじゃないかしら?」


 ハリエットちゃんは、ホントにくよね。


 そういうコトならと、にしてたメモをいくつかめくったホリーくんが、質問しつもん開始かいししました。


「それじゃあ、じゅんっていてこうかな。ハナちゃん。過去かこ一番いちばんはじめに見聞みききしたのはなんだったかな」

一番いちばんはじめ……えっとね、おいのりをいたよ」

「おいのり?」

「うん。ソラリスさんが、おいのりしてたの」


 かあさんがおいのりしてた?

 それはなんていうか、あんまりイメージできないなぁ。


一番いちばんはじめに、ソラリスさんとったんだね。その場所ばしょはどこだったか、かるかな?」

「きょうかいってってた。あのね、キラキラのまどがあって、綺麗きれいだったよ」

「きょうかい……キラキラのまど

教会きょうかい。ということでしょうか」


 心当たりでもあるのか、ベルザークさんがそういました。

 教会きょうかいって、なんだろうね。


「イージスさんはいなかった?」

「うん。イージスさんはね、もうすこあとでソラリスさんをたすけてくれたの」

「なんか、かんないっス。教会きょうかいって、もしかしてソラリスはプルウェア聖教国せいきょうこくたってコトっスか?」

やつらにつかまっていた。という可能性かのうせいはありそうですね」


 推測すいそくくちにするカッツさんとベルザークさん。

 でも、2人(ふたり)推測すいそくをハナちゃんが否定ひていしました。


「ううん。つかまってなかったよ。みんな、ソラリスさんと仲良なかよくしてたもん」

「え? プルウェア聖教国せいきょうこくで、解放者リリーサー平和へいわらしてたってことっスか?」


 カッツさんだけじゃなく、みんなおどろいてるね。

 さすがにわたしも、びっくりだよ。


 だって、いままでに懐古の器(ノスタルジア)からは、想像そうぞうできないんだもん。


「もしかして、ハナちゃんがはじめてったときのソラリスさんは、まだ解放者リリーサーじゃなかったとか?」

「う~ん。はじめから、綺麗きれいしろかみだったとおもう」

「それじゃあ、はじめっから解放者リリーサーだったってことね」


 ハリエットちゃんのとおりだね。

 このしろかみは、解放者リリーサーあかしみたいなものだし。


 じゃあどういうコトなんだろ。

 解放者リリーサーって、プルウェア聖教せいきょうにとってはてきなんじゃないのかな?


「とりあえず、はなしすすめよう。ハナちゃん。ソラリスさんとったときは、すで指輪ゆびわなかにいたのかな?」

「うん。まよってたわたしつけて、指輪ゆびわなかむかえてくれたんだよ」

「やっぱり、解放者リリーサーじゅつっぽいっスね」


 カッツさんの言葉ことば賛同さんどうするように、ホリーくんうなずきながらブツブツつぶやきました。


たましいだけ過去かこんだハナちゃんを、解放者リリーサーのソラリスさんがつけて、魂宿たまやどりのじゅつ指輪ゆびわ定着ていちゃくさせた。うん。いまところ違和感いわかんはないかな」


 違和感いわかんいけど、疑問ぎもんくなったわけじゃないよね。

 そもそも、どうして過去かこんだのかとか。

 どうやってかあさんのもと辿たどけたのかとか。


 まだまだからないことだらけです。


「それで、そのあとなにがあった?」

「そのあと……」

にいさん。かたざつすぎるよ。ここはボクにまかせてよね」

「……かった。まかせよう」


 好奇心こうきしんられてるホリーくんは、こわいものらずだね。

 ペンドルトンさんも、こうなったホリーくんにはよわいのかな?

 大人おとなしくがってるよ。


「ハナちゃんはそれから、指輪ゆびわとしてソラリスさんと一緒いっしょた。これはってるかな?」

「うん」

かった。じゃあつぎこう。そのあとなにかがきて、ソラリスさんはみんなからわれるになった。これはってる?」

ってる」

「そっか。その『なにか』って、どんなことだったのかな」

かんない」

「それは、どうして?」


 ホリーくんいかけに、しばしくちつぐむハナちゃん。


 おもしてるのかな、テーブルのしたてのひらにぎりしめた彼女かのじょは、けっするようにくちひらきました。


「ソラリスさんはね、毎日まいにちどこかにおかけしてたの。そのおかけに、わたしれてってもらえなかったから、なにをしてたのか、かんない」

「おかけ? それは一人ひとりってたの?」

「ううん。お部屋へやにね、だれかがむかえにてたよ」


 だれかって、だれだろ?

 こればっかりは、ハナちゃんもらなさそうだよね。


「でね、あのもいつもどーり、むかえがたんだけど、そのだけ、わたしをポケットにれて、部屋へやそとれてってくれたの」

「その……そのあとなにがあったのか、いてもいかな?」

「うん。ソラリスさんがね、部屋へやまえおしえてくれたんだ。今日きょうでおわかれだねって。それがいやだったから。れていってしいっておねがいしたんだ」


 今日きょうでおわかれ?

 まるで、今生こんじょうわかれみたいなかただよね。


 でも、あながち間違まちがいじゃなかったのかも?

 懐古の器(ノスタルジア)でも、かあさんは大渦おおうずしずめようとしてたし。


「お部屋へやそとたら、みんなおこってるこえこえてて、ソラリスさん、いてた。こわいよってって、いてたんだよ」

「どういうことなの?」

「まるで、生贄いけにえみたいっスね」


 生贄いけにえ


 かあさんが、生贄いけにえだった?


 なんだか、おもってなかったかんじのはなしになってきたような。


生贄いけにえか……そうえば、いつかの懐古の器(ノスタルジア)で、ソラリスさんが世界せかいのことをあいせないって独白どくはくしてたっけ」

「なるほど、やつらのやりそうな所業しょぎょうですね」


 納得なっとくしたようにうなずくベルザークさん。

 たしかに、あいせないって独白どくはくはしてたけど。

 本当ほんとうにそうなのかな?


 死神しにがみ生贄いけにえって、なんかへんじゃない?


「すみません、ちょっとはなしがズレちゃいました。ハナちゃん、つづきをおねがいするよ」

「うん。そのあとね、きながらあるいてたソラリスさんに、ちかづいてひとたの。それが、イージスさんだったんだよ」

「ここでとうさんが登場とうじょうするんだね」

「うん。わたしはポケットのなかたから、こえしかこえなかったけど。イージスさんがソラリスさんにったの」


 そこで言葉ことばったハナちゃんは、みんなこえるように、はっきりとしたこえうのでした。


聖女様せいじょさま、なぜあなたは、自分じぶん自分じぶんしばけているのですか?」

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