表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/208

第122話 火炎砲

「あっちも、そっちも!! たくさんてるよ!! みぎほうちかいとおもう!」

「ハナちゃんありがと! ほかにもてたら、すぐにおしえてね!」

「うん!」


 前々(まえまえ)からってはいたけどさ、ハナちゃんのみみ本当ほんとうにすごいよね。

 ちいさなおとのがさないだけじゃなくて、正確せいかくけまで出来できるんだから。


 沢山たくさん追手おってからげてるいまみたいな状況じょうきょうで、重宝ちょうほうするちからなのです。


「で、こっちにけば火炎砲かえんほうがあるんだよね!?」

「そのはずです!!」

 力強ちからづようなずくのは、さっき解放かいほうしたおとこひとだよ。

 一緒いっしょ解放かいほうしたひとたちと一緒いっしょに、私達わたしたちいててるのです。


 なんでも、火炎砲かえんほう場所ばしょってるっていうから、案内あんないしてもらってるんだ。

 ベルザークさんが正気しょうきうしなってるいまたよれるひとほかないからね。


 それにしても、かぜ拘束こうそくしてるベルザークさんが、ぐったりしてるようにえるけど、大丈夫だいじょうぶかな?

 かべたままはこんでるから、れすぎで気分きぶんわるくなってたりしないよね?

 まぁ、鍛練たんれんしてるから大丈夫だいじょうぶだよね。

 うん、大丈夫だいじょうぶなはずだよ。


 すこしずつせまってくる追手おって包囲網ほういもうを、ハナちゃんのみみ回避かいひしつつ、時々(ときどき)突風とっぷうばしながらすすわたしたち。


 ほどなくして、1つのとびらきついたわたしは、いきおいよくはなちました。


 途端とたんに、そと熱気ねっき身体からだまとわりついてたよ。

 あせも、すぐにかわいちゃうくらいあついね。


「あれが火炎砲かえんほうです!」

 まることなく、そとしたおとこが、左手ひだりてほうゆびさした。


 さてと。あとは火炎砲かえんほうこわしてしまえば、ここからげてわりだね。

 そうおもってたわたしは、()()にして一瞬いっしゅん理解りかいできなかったのです。


「え? これが、火炎砲かえんほう?」

「はい! そうです!」

「リッタ……これって」


 おびえるハナちゃん。

 それもそのはずだよね。

 だって、火炎砲かえんほうってばれてるそれは、邪龍じゃりゅうベルガスクの姿すがたにそっくりなんだもん。


「い、きてはいないんだよね?」

「もちろんですよ」


 つまり、火炎砲かえんほう邪龍じゃりゅうベルガスクの亡骸なきがら使つかった兵器へいきってこと?

 よくたら、からだのあちこちに補強ほきょうっぽいいたとかがけられてるね。


 こうなってくると、さすがに可愛かわいそうだよ。

 っていうか、え? タイラーさん―――じゃなくて、ライラックさんはどうなったの?


 さすがにこの火炎砲かえんほうがライラックさんってワケじゃないよね?

 戦争せんそう何度なんど使つかわれたことがあるってことは、火炎砲かえんほうかれべつだってことだし。


 それにしてもこまったなぁ。

 これじゃこわしにくいよね。

 てっきり、つくられたものだっておもってたのに。

 まさか、もの改造かいぞうしてるなんて、おもわないじゃん。


「これなに?」

 火炎砲かえんほうそばまれてるてつはこ

 そのなかはいってるくろたまして、ハナちゃんがたずねました。


「それが火炎弾かえんだんです。溶岩ようがんからつく必要ひつようがあるので、ここにとりでてられているといています」

「ふ~ん」

「それじゃあ、このたま全部ぜんぶってっちゃえば、てなくなる?」

「そうですが、とりでには大量たいりょう在庫ざいこがあるので、すぐに補充ほじゅうされるとおもいます」

「そっか」


 じゃあやっぱり、火炎砲かえんほうほうをなんとかしないとダメだね。


「リッタ! 足音あしおと近付ちかづいててるよ!」

「ホント!? マズいなぁ……」


 どうすればいかな?

 このままみんなげるだけでも大変たいへんそうなのに、こわかたなやんでる場合ばあいじゃないよね。


「こういうときとうさんとかあさんなら……」


 どうしたんだろう。

 そんなことをかんがはじめたわたしは、すでにそのこたえをっていることにきました。


「そうだ! かぜ台地だいちだ!」

「リッタ? どうするの?」

「みんな、火炎砲かえんほううえっかって! すぐにはじめるからね!」


 わたしこえいて、火炎砲かえんほうさきによじのぼはじめるハナちゃん。

 彼女かのじょにベルザークさんをあずけているあいだに、ほかみんなもよじのぼはじめました。


 あとは、わたしが火炎砲に魂宿たまやどりのじゅつほどこすだけですね。


 どうせなら、もっとカッコいい名前なまえけてあげたいな。


「そうだ、きみ名前なまえはサラマンダーでいんじゃないかな? まだ使つかえないけどさ」


 両手りょうてかたうろこえて、たましいながむ。

 あれ?

 このかんじ……かあさん?


 うすすぎて全然ぜんぜんづいてなかったけど、ほのかにソラリスかあさんのたましいかんじるよ。

 もしかしたら、懐古の器(ノスタルジア)れたかも。

 なんて、そんなひまいんだけどさ。


「いたぞ!! つかまえろ!!」


 いきおいよくひらとびらから、沢山たくさん兵隊へいたいさんがけつけてくる。


 でも、ちょっとおそかったね。

 それは兵隊へいたいさんたちも理解りかいしたみたいなのです。

 そりゃそうだよね?

 んでたはずのドラゴンが、まえうごしたんだからさ。


「みんなしっかりつかまっててね!! このままんでげるから!」

 サラマンダーの背中せなかってるみんなにそうこえけたわたしは、かたうろこでつける。


「よしっ! いくよサラマンダー! きみはもう、自由じゆうなんだから!!」


 おおきなつばさかぜつかみ、サラマンダーがゆっくりと上昇じょうしょうはじめる。

 そんなかれいながら、わたしかぜります。


 このままサラマンダーをれてかえれば、火炎砲かえんほう破壊はかいしたのとおなじだよね。

 クラインさんから、文句もんくわれないはずだよ。


 あとはまぁ、みんなもともどってからかんがえよう。

 色々(いろいろ)と、りたいこともたし。


 やっておくべきことも、えたがするからね。


 でもまあ、かえってまずはじめにやることはまってるよね。

「ハナちゃん、かえったら……」

「お風呂ふろっ!」

「だねっ!」


 うれしそうなハナちゃん。

 気持きもちはわかるよ。

 あせかいたし、大変たいへんだったし、火山かざんまわりってへんなニオイがするからね。

 すっきりさっぱりしたいのです。

面白いと思ったら、いいねとブックマークをよろしくお願いします。

更新の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ