表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/208

第102話 ぐちゃぐちゃ

 テラスのうえへんこえおんなひとたちが、一斉いっせいにこっちいた。


 でも、もうおそいもんね!

 ここからなら、テラスにりれるはずだよ。


「ありがとね、へんこえのおねえさん!」


 テラスにもどれたら、わたしにも出来できることがきっとあるはず!

 パッとかんじ、だれおそわれたりはしてないみたいだし。

 ひょっとしたら、へんこえのおねえさんはそんなにつよくないのかもしれないね。


「よいしょ! いてて……またリッタにおこられちゃうかなぁ」

 テラスのすりに爪痕つめあとけちゃった。

 でも、この場所ばしょだったらづかれないかもだよね?

 だまってようかな……ううん。やっぱりちゃんとったほういかも。


 だって、あとでバレたらこわいもんね。


「とうちゃ~くっ! それじゃあ、みんなこしてあげるよ!!」


 へんこえ邪魔じゃまをするなってつづけてる。

 そのせいかな?

 様子ようすがおかしいおいたんたちが、こっちにかってたよ。


 つかまったら、またさっきみたいにとされちゃうよね。

 だから、今度こんどげなくちゃ!


「そのまえに、アオォォォォォォォォォン!!」


 ガブちゃんがづいてくれたから、ほかみんなづいてくれるかなっておもったけど。

 ダメでした。

 むしろ、おいたんたち注意ちゅういいてしまったみたいです。


 むぅ。

 そしたら、どうやってみんなこせばいいのかな?


 おみずをかけてみる?

 ってくるのが大変たいへんだね。

 はたいたりするのは……かわいそうだからやめておこう。


 あ、そーだ!

 丁度ちょうどいいのがあるよね!


「おいたんたち! ちょっとっててね! すぐにもどってくるから!」


 階段かいだんりてネリネの1かいかおう!

 そこに、おくすりいてあるからね!

 リッタもってたし。

 あのおくすりは、どんな病気びょうきとか怪我けがにもくんだよって。


 きっと、みんながへんかんじになってるのもなおしてくれるよね。


 1かいにもボーっとしてる『とーぞくだん』のみんなるけど、ちょっとっててもらおう!

 とにかくいまは、おくすりだけってテラスにもどらなくちゃ。


 ところで、このおくすりはどこにればいのかな?

 怪我けがしたときは、その怪我けがってたけど。

 今回こんかいはみんなどこがわるくなったんだろ。


 やっぱり、あのこえいてからへんになったから、みみかな?

かなかったときのために、おみみなか沢山たくさんんであげなくちゃだね!!」


 べちゃべちゃするおくすりとそのもの両手りょうてったわたしは、いそいで階段かいだんがります。


 そして、テラスにがったわたしが、一番いちばんちかくにいたハリエットおねえちゃんにはしろうとしたとき

 死角しかくから、おいたんがしてきました!!


あぶない!! またつかまるところだったよ!!」


 さすがはおいたんですね。

 うごきが俊敏しゅんびんちからつよいから、油断ゆだんできないのです!


排除はいじょしろ!!』

排除はいじょする」

「おいたん! ましてよ!」


 おくすりちながらげるのはむずかしいね。

 でも、そのへんいてたらられちゃうかもだし。


 仕方しかたがありません。

 おいたんにはあとあやまろう。


「ごめんねおいたん! ちょっとだけ攻撃こうげきするね!」


 左手ひだりてにおくすりをたっぷりして、身構みがまえる。

 すると、おいたんがいきおいよくんでました。

 まるで、おおきなかべせまってくるみたいです。


 でもね、わたしかべのぼれるようになったんだよ?


「ふふふ! すきだらけだよっ! おいたん!」


 いつも鍛練場たんれんじょうわれてる言葉ことば

 こんなところでかえせるとはおもっていませんでした!


 ゴツゴツしたおいたんの身体からだかたまでのぼったわたしは、左手ひだりてのおくすりかれかおにぶちてました。

 反動はんどうたおれこむおいたんから、いそいで距離きょりります。


 おくすりまみれのおかおで、ちょっとねむっててよね!


「よしっ! ふふふ、ちょっといい気分きぶん


 そんなことってる場合ばあいじゃないのです。

 のこりはおいたんみたいにたたかえるひとはいないから、簡単かんたんだとおもうけど。

 油断ゆだんしちゃダメだよね。


 問題もんだいへんこえおんなひとたちだね。


 いま全員ぜんいんそらがって、ギャーギャーさわつづけてるだけだけど。

 もしかしたら、攻撃こうげきしてくるかもしれないよ。


「それじゃあハリエットおねえちゃんとホリーおにいちゃん、それとカッツさん。いまからこしてあげるからねぇ」


 そうしてわたしは、ほかみんなにもおくすりってあげました。

 さすがにおいたんみたいにつよくはっていよ?


 つかまえようとちかづいてみんなまわりをはしまわって、すきみみなかくすりんだのです。

 そうすればちないし、へんこえりにくくなるよね。


「……なにがきてるっスか?」

 テラスに仰向あおむけに寝転ねころがってるカッツさんが、最初さいしょ意識いしきもどしたみたい。


 ん?

 カッツさんが最初さいしょ

 おいたんじゃないんだ?


 ふと、おいたんのほうてみると、ゆっくりとがろうとしてるね。


 でも、なんかまだ様子ようすがおかしいような?


「なんスか!? みみこえにくいとおもったら、なんかまってるっス!?」

「そっか!! かっつさん! それはとっちゃダメ!!」

「ん? ハナちゃん? なんスか? なにをって……なんでこっちにはしってくるんスか!?」


 カッツさんがちょっとだけおくすりみみからしてたから、いそいで補充ほじゅうしたよ!

 ちょっといきおあまって、たおれちゃったけど。

 あとであやまっとこ。


 そのながれでおいたんにびついて、みみにおくすりみます。

 ほぼ同時どうじに、おいたんに両肩りょうかたつかまれちゃったよ。


 げられるっ!!


 とっさにおいたんの身体からだにしがみいたわたし

 でも、心配しんぱいしすぎだったみたいだね。


 だって、かたつかんでたが、そのままわたしあたまはじめたんだから。


状況じょうきょうかりませんが、これはらないほういとうことですね? ハナちゃん」

「おいたん!! めたの!?」


 うれしくてつい、かたからりてこえけたけど、おいたんにはこえてないみたいです。

「すみません、こえません。ですが、なんとなく理解りかいできてきました」


 そうったおいたんは、まっすぐうえ見上みあげたよ。

「あのそらんでいる魔物まものは、おとこえ使つかうのですね? ハナちゃんだけがうごけているとうことは、衝撃しょうげきたぐいではなさそうです。まどわす……そうったたぐいでしょうか」


 さすがはおいたん!

 えずおおきくうなずいて、ってることをつたえておこう!


 つぎ視線しせんとしたおいたんは、リッタをた。


ねむり……なるほど。それであのプルウェア聖教せいきょうおんな襲撃しゅうげきさいねむりの魔術まじゅつ使用しようしたのですか。だとしたら今回こんかい非常ひじょう危険きけん状況じょうきょうだったことになりますね。ハナちゃん。よく1対処たいしょしてくれましたね」

「えへへ。あぶなかった。でも、あれはどーしたらいいかかんない」


 こえじゃこえてないから、そらんでるおんなひとたちをゆびさしたよ。

 そしたら、おいたんがもう一度いちどわたしあたまでてくれた。


安心あんしんしてください。わたしかんがえがありますので」


 そうったおいたんは、一人ひとりでおうちなかはいってったよ。

 かとおもったらすぐにた。

 なにくろくてまるものってきたね。


耳障みみざわりなおとは、それ以上いじょうおおきなおとこえなくしてあげましょう」

「それって」


 もうえてみたけど、出来できなかったよ!


 そうおうとしたわたしまえで、おいたんはくろくてまるなにかにけた。

 そして、いたそれをいきおいよく上空じょうくうげる。


 どうでもいけど、すんごくたかくまでげたね。

 すごいちからです。


 くびいたくなるくらい見上みあげて、どうなるのかてると。

 突然とつぜんちいさくなったくろなにかが、空中くうちゅう爆発ばくはつしたよ。


 おなかひびくくらいにおっきくておっきなおとと、色鮮いろあざやかなあかりがそらひろがった。


 これは、わたしってる。


 まえに、リッタがせてくれたよね。

 おぼえてる。

 おぼえてるよ?


 あの光は、おとうたんとおかあたんのお返事へんじなんだって、ってたもん。


 それをどうして、おいたんがってきたの?

 おうちにあったの?

 おとうたんとおかあたん、ネリネにいたの?

 じゃあどうして、リッタはおしえてくれなかったの?


 もしかして、おとうたんとおかあたんがお返事へんじをしてくれたっておはなしは、ホントじゃなかったの?


「それにしても綺麗きれい花火はなびですね。そうはおもいませんか? ハナちゃん? ……ハナちゃん?」


 おおきなおと爆発ばくはつまれたへんこえおんなひとたちが、テラスにちてきました。

 そんなことをあまりかいさない様子ようすのおいたんが、こえけてきます。


 でも、返事へんじなんかできないよ。


 だって、あたまなかがぐちゃぐちゃになっちゃってたんだもん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ