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鬼コーチと出会う
あの人が僕の前に現れたのは雲ひとつない晴天の時だった。ゴツい赤い鬼がスーツを着たらこんな感じなんだろうなと思わせる様な格好で。
「お前だな、俺を呼んだのは」あの人が口を開いて言った最初の言葉に僕はポカンとなった。
「なんのことですか」状況が飲み込めない僕は困惑すると
「お前が昨日、神社でこの何やってもダメな僕の根性を叩き直してください!!!!てえ言ったんだろう」
そう言われて昨日一人で神社にひさしぶりに行ったことを思い出した。運動も勉強も全然続かない自分に嫌気が差して鐘を鳴らしたんだった。
でもあの時は
「そんなことは心の中で思っただけなのになんで知っているんだ!」
「んなもん全部筒抜けだぜ。この赤鬼さんの前ではよお」
僕はそれを聞いて後退りしたのをみて鬼はにいっと笑った。「今日からお前に根性を叩き込んでやらあ。覚悟しな」
不思議と僕は鬼のことを信頼した。もしかしたらこの人との出会いが僕の中で何かを変えるかもしれないと思ったんだ。
「あなたのことはなんて呼べばいいですか?」
「そうだなあ、コーチとでも呼んでくれ」