Episode90
「そのホーリーチェインはゆっくりとかけられた者の魔力を吸い取り、より強固となるのだ。」
確かに少しずつではあるが光る鎖が太くなっていて、魔力は既に相当な量吸収されているのだろう、かなり消耗しているのを感じる。
「氷柱」
白い鎖に氷の刃を振るってみるが、如何せん通り抜けてしまうのだ。
破壊しようにも魔法は吸収していまい、物理攻撃も効かないとなるとクロエであってもお手上げだ。
しかも、白い鎖は空間に空いている黒い穴みたいなところから出ており、その亜空間らしき穴に少しずつではあるが巻き取られているのだ。
最終クロエは魔力が空っぽになり、生身の状態で大の字で拘束されることになるのだ。
そしてこの魔法は放たれた後は受けた者の魔力で維持又は変化するような魔法であり、今更放ったメイジを倒してもこの魔法は解けないだろうと推測することが出来、この上なく厄介な魔法なのだ。
「次の準備にかかれ!」
ヤバい。リーダー格のような人物がまた何か命令している。
この状況はマズい。とりあえず今出来ることを一つずつやるしかない。
背中に背負っている布で包んだ剣を取り、この剣を持った者に意思の疎通が出来るように魔法をかける。
この魔法はあまり知られていない魔法だ。
何故なら、この魔法はヨランダが作り上げた物なのだ。
ヨランダとクロエの二人で住んでいた時にお互いが家を留守にする時に家具やドアに伝言のような形でよく使っていただけの魔法で一般向けにはまだ公表されていない魔法なのだ。
「やれ!」
リーダー格のような人物が命令すると、刀を抜いた数人がジリジリと近づいて来るのが視界に入る。
再び布で剣を包むと、前へと放り投げる。
クロエは自分の周りに氷の結界を張り、刀や魔法での攻撃をされると予感してそれを未然に防いだ。
キィィィイン!!
甲高い音が鳴り響くが、クロエの氷結界はびくともしない。
「司祭長、刃が通らず傷一つ付きません。」
「であれば、これは消耗戦である。あちらの魔力が尽きた時、その時が我々の勝利となるのだ。」
そうなのだ。
そうしている間にもクロエは、白い鎖に随時魔力を吸い取られているのだ。
氷の結界の中でクロエは白い鎖に氷をかけてみるなど出来ることを順番にやってはいるが、この白い鎖から逃れる術が見つからない。
良くない、良くない状況だわ。
徐々に焦りが出てくるクロエだったが、焦っても何一つとして良いことが無いのも事実だ。
冷静に次の手や新しい打開策を考えるが、もう最終手段しか残っていないと言うところまできていた。
はぁ、自分の運命を他人に任せるのも癪だけれども、これしかないわね...
「完全凍結」
クロエは残った魔力を振り絞り、結界内を更に氷漬けにすると自分自身をも凍らせたのだ。
その結界の中は全てが凍ったように停止する。
クロエの心臓や、吸い上げられていた魔力も全て停止、凍結されたのだ。
そう、時間さえも―――。
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