Episode89
「何者だ!!」
さっきの豚野郎の声を聞きつけ、城に居る兵士たちが集まってくる。
「潮時かしら。」
クロエは壁に飾られている異質な剣をシーツで無造作に包み手に取り、窓から身を投げた。
勿論、下には氷で出来た滑り台を設置しており、スムーズに地上まで滑り降りることが出来たのだった。
数人の兵士もその氷の滑り台で同じように降りてくるが、クロエは自分が下りると氷の滑り台を変形させて全く違う所へと降り口を変形してしまった。
滑り降りてきていた兵士たちはクロエとは全く違う所へと滑って行ってしまい、姿も見えなくなってしまう。
もしもそれを拒んで途中で飛び降りようものなら、かなりの高さからの落下となり、生存は絶望的だろう。
そんなことは知った事ではないクロエは、帝国の夜の街へと姿を消したのだった。
翌朝帝国内ではクロエの人相書きが配られ指名手配となっており、膨大な賞金も掛けられた。
何も知らないクロエが宿を出ると、帝国兵に取り囲まれる。
「おいそこのお前この人物だな!」
「ちょっとぉ、もう少し美人に描いてちょうだいよ。」
そう言いながらクロエは氷を瞬時に作り出して蒸発させ霧を発生させる。
「む?なんだこれは!」
「見えない、待てお前たち剣を抜くな!同士討ちになるぞ!」
またもやクロエは上手く逃げ去ることが出来たのだった。
帝国を出て暫く歩いていると複数の気配が追って来ているのに気が付く。
追手...多いわね。
クロエはその足で近くの地下迷宮へと逃げ込んだ。
当然追手も追いかけ地下迷宮へと入り込む。
中には先日村を襲っていたオークが主に生息して居たが、難なく皆殺しにして最奥まで進む。
半ばで出てくる中ボスもクロエには歯が立たず、瞬殺され魔石となったがそれすら見向きもされずに通り過ぎられたのだった。
ラスボスも一撃で倒し、地下迷宮の最奥まで辿り着いたクロエだったが、その奥に更に枝道が続いている事に気が付いた。
この奥に隠れて追手をやり過ごそうと考えたのだ。
細い道を抜けるとそこにはドーム状のかなり広い空間が広がっていた。
辺りを見渡して隠れることが出来るような場所を探す。
!?
足音の多さからこのドーム状の空間に入って来た人の数が多いのが分かる。
皆白の神官服を着ており、同じ紋様が刻まれているようだ。
「思った何倍も...多いわね。」
「そこの女、動くな!」
「異端審問官である!異端者め降伏し死を受け入れ、輪廻転生へと戻るがいい!」
「何を...言っているの?ちょっと理解できないわね。」
「黙れ異端者め!」
リーダー格のような人物が手を上げ攻撃の命令をすると、クロエを遠巻きに取り囲んだメイジたちがクロエに対して魔法を放つ。
「「ホーリーチェイン!!」」
一瞬目が眩むほどの光を感じたが、痛みは無く今のうちに霧でも発生させて逃げようと思ったクロエだったが、思わぬ事態に困惑してしまう。
「マズいわね...」
そう、クロエ両手両足には白く光る鎖が巻き付いていたのだ。
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