Episode87
クロエは小さな村を発見する。
「ここが私を告発した親子が住む村ね。」
今すぐにでも村を滅ぼしてやりたいという気持ちで溢れかえっていたクロエだったが、様子がおかしいことに気が付く。
「運が悪いわね。」
なんと、目の前の村は魔物の群れに襲われている真っ只中だったのだ。
「魔物は...オーク。豚野郎ね。」
オークに追いかけられる親子が目に付く。
子供が転んでしまい、母親が覆い被さってオークから守っている。
「そんなことしたって意味ないのよ。」
子供から引きはがされ、持ち上げられる母親。
「やめてぇぇ!放して、逃げて、逃げるのよリズ!」
リズと呼ばれる娘は、状況が理解できず泣き叫ぶだけ。
「放っておけばこの村は滅ぶわね。」
「お願い、逃げてリズ、あなただけでもぉぉ!!」
母と死に分かれた小さな子はどのように生きていくのか。
この世知辛い世の中では分かりきっていることだ。
そう、死だ。苦痛を伴った死。
クロエは昔の自分と今目の前にいる親子を重ねてしまっていた。
「っち... 氷柱」
舌打ちをしたクロエだったが瞬時に作り出した氷の刃で、今にも目の前の母親の頭部に食らいつこうとする豚野郎の頭を跳ね飛ばす。
オークから噴き出す血飛沫で、顔を真っ赤に染められながら地面へと崩れ落ちる母親。
オークの体は塵と化し、地面には魔石と血溜まりだけが残った。
「子供を連れて逃げなさい。あと、他の豚野郎は何処に居るの?」
「あ、ありがとうございます。このまま村を東へ進んでいくと男共がオークと戦っている場所になります。そこが多分一番数が居ます。」
「そう。」
母親は子供に駆け寄り抱き寄せながら小刻みに震えていた。
それもそうだろう。
大の男が何人も集まり、死者すらも出しながらやっと倒せるのがオークである。
それを容易く一振りで仕留めたのだ。
その力に恐れをなすのも仕方が無いことだ。
クロエは村を奥へと進む。
一体また一体とポツリポツリ出くわすオークを殺しながら。
少し歩くと壊された門のような物の周囲で、村人とオークが戦っているのが見える。
村人はおよそ半数が死に絶え地面に転がっている。
オークは三体程しか居ないが、一匹はこのオークたちのリーダーだろう。統率者のように見える。
「氷」
三体のオークは氷漬けとなり、動きは静止する。
「何があったんだ?」
「こ。これは氷?」
「まさか?」
「厄災の魔女かっ!?」
それぞれが周りを見渡しクロエの姿を発見する。
「居たぞ!」
「何をしに来た魔女め!」
「これもお前の仕業じゃないのか!」
「ぶち殺してやる!」
村人は助けてくれたはずのクロエに向かって各々手にしている武器を構える。
パチンッ!
クロエは指を鳴らし、凍り付くオークを粉々に破壊する。
塵となったオークが落とした魔石を指さす。
「その魔石を街で売って、村の復興資金としなさい。それから、貴方たちが寄越した帝国軍の兵士によって私の師 森の魔女ヨランダは殺されたわ! 貴方たちも豚野郎に食い散らかされて死ねば良かったのにね。」
そう言って去って行くクロエの後ろでは村人たちがざわついていた。
その中には、あの時救われた村人の絶望する姿もあった。
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