Episode5
レイナは崖から飛んだ勢いのまま翼竜を縦一線、真っ二つにする。
「次。」
着地地点の左、怯んだ翼竜に向かって駆ける。
正面から迫りくる脅威に対して翼竜もファイアブレスで迎え撃つ。
だが、遅い。ファイアブレスは予備動作がある。
空気を大量に吸い込む必要があるため、発動まで一瞬タイムラグが発生するのだ。
その一瞬はレイナにとって十分過ぎる時間だ。
既にそこには居ないレイナに向かってファイアブレスが放たれる。
「ハッ!」
翼竜の頭上まで飛び上がり身体を半回転させひねり、後頭部から首を切り落とす。
「もう一体は・・・!?」
視線のその先には村人だと思われる親子の無残な死体を貪る翼竜がいた。
地面には母親と思われる上半身だけの女性が、その子供と思われる小さな首の無い身体を翼竜が喰っている。
私たちが豚や牛を食べるように、魔物にとっては人間など食料でしかない。分かってはいたが
「くそぉぉぉぉおお!」
間に合わなかった。今の親子は救えたはずなのに、救えなかった。
私が弱いから。私の力が足りないから...
レイナは駆ける。
もっと強くならなければ、いつか今後もしも、今の親子と同じ状況にノアがなったらその時私はまた今回みたいに救えないかもしれない。
私には剣しかない。剣しかないから、その剣で大事な人を守りたいと思った。
そのためにここまで強くなった、でも足りなかった。
ノアに救われたあの日から私は・・・
最後の翼竜の翼による攻撃をかわし、もう片翼をはじき返す。
その拍子に翼竜に背を向ける形となるが既に翼竜の腹にはレイナの横腹をすり抜けた雷切が刺さっている。
ボッーン!という音と共に翼竜の全身はたちまち火の粉のように消え去った。
強くならなければ。レイナはこの依頼を達成したら、地下迷宮へ籠り修行を再開しよう。そう決心する。
その後も次々と現れる翼竜を倒し、その数が20を超えた頃
「レイナ大丈夫だったか?」
「こっちは何とか近くの洞窟へ避難が完了したっすよ!!」
「うん、でも犠牲者が...」
!!!!!!!!!!!!!!!!
その時、空からとてつもない魔気を纏い黒く大きな竜が舞い降りる。
「まじかよ...」
全身から脂汗が一気に吹き出るそんな重くネットリとしたような魔気。
今まで出会ってきた中でダントツでトップクラスの魔気だ。
「カイ、逃げろ。こんなの出てきたら守ってやれる気がしない」
「わ、わ、わかったっす、お二人も良いタイミングで逃げてくださいっす!!」
魔気に当てられて身体が言う事を聞かないのだろう。
何度も転びそうになりながらカイは逃げて行った。
一番近い位置にいるレイナは既に刀を抜いており戦闘態勢だ。
黒竜の圧倒的な魔気を前に、自分へ注意を向けようとしているのだろう。
レイナも普段は押さえている魔気を全開放している。
「GYAOOOOOOOOOOOOO」
黒竜が魔気を纏ったとてつもない咆哮を上げる
咆哮が開戦の幕を上げた。
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