Episode76
更に、同時に二つの結界が破壊される。
出てきたのはシュヴァルツとセシル、ジャクソンだ。
お互いに臨戦態勢に入っているところにノアが割り込む。
「もう辞めだ。シュヴァルツ。レイナが戻ったから魔族殲滅は無しだ。」
「承知いたしました。」
シュヴァルツが竜化を解いたところで、セシルとジャクソンも警戒を解く。
「え、魔族を殲滅しようとしていたのですか?こわっ...」
「あの人考え方が我々魔族より過激なのですね。」
ノアがシュヴァルツへと向けた言葉に戦慄したセシルとジャクソンであった。
「魔王様! ご無事ですかっ!」
「大丈夫だよ。この人達は敵じゃないよ。」
駆け寄ってくるセシルの頭をレイナが撫でる。
「ふぇ~。さ、さようですか。あの結界は魔王様が?」
不意に頭を撫でられ脳内お花畑になったセシルだったが、すぐ正気を取り戻したようだ。
「うん、そうだよ。それと私はレイナ。名前で呼んでね。」
「かしこまりました。レイナ様。炎の魔法をお使いということは、ルージュ・メテオノール様の記憶がお戻りになったのですね!」
「ううん、ちょっと違うくてルージュ・メテオノールはもう消えたの。記憶と力を私に授けてね。」
「そ、それでは新たにレイナ様が正式に魔王となられたのですね!」
「それなんだけど、私、魔王なんてしたくないよ?」
「ええぇぇぇ!!」
セシルは声を上げて驚いたのだった。
「このまま魔界に残っていただいて、魔界を統治していただきたかったのですが...」
「それは貴女達でやって。」
レイナはセシルの縋りつくような頼みをサラッと断ると絶望に染まる彼女の表情を見て少し困った顔をする。
「え、そんな...」
「セシルも一緒に来る?」
セシルは正直魔界統治など興味はない。幼き頃から聞かされ育った魔王様に仕えたいという思いの前にはこの言葉は強すぎた。
「行きます!もうこうなったら魔界なんて知ったこっちゃないです。ジャクソン!魔界は貴方に任せました。よろしくお願いします。助手でそこのまだ結界を破れない二人を付けますのでご自由にお使いなさい。ではさようなら。」
横で鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているジャクソンに早口で説明し、仕事を押し付け軽くお辞儀をして別れを告げたセシル。
「はは。面白い子だね」
ノアは思わず笑ってしまう。
先ほどまで自分たちにものすごい殺気を放っていた子だとは思えない言動だったのだ。
「は?誰が面白い子ですか?私はレイナ様にお仕えいたしますが、貴方に仕える訳ではありませんので、くれぐれも勘違いなさらぬよう。」
前言撤回だ、先ほどまでの殺気がすぐノアのところまで戻って来たのだった。
「あ?そちらこそ一体どなたにそんな口利いてるのですか?死にたいのでしょうか?今すぐ魔界ごと消してあげましょうか?」
「そうねぇ。手伝うわ。こんな小生意気な小娘軽く捻り潰して、やっぱり魔族は嬲り殺しね。」
シュヴァルツとクロエが意気投合してタッグを組みだした。
こうなったら世界も簡単に滅んでしまいそうだ。
「はいは~い。やめましょうね~。ほらシュヴァルツとクロエも下がって、レイナに付いてくれるんだから仲間みたいなものなんだし、喧嘩は無しでいこうよ。」
はぁ~ため息をつき、男性の仲間を増やしたい...と切願するノアであった。
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