Episode75
「おい爺、手伝ってやるよ。」
そうエイデンにヘンリーが申し出る。
「それではジャクソンと私はこちらの...あら。本当に竜種ですね。まさか本物の竜が関わっているとは。これは本気でやらねばこちら側がやられてしまいますよジャクソン。」
「了解しました。」
クロエとシュヴァルツは目の前に居る4人の魔族と向き合うと、今にも戦闘が始まらんという張りつめた緊張が一帯を支配する。
だが、次の瞬間今まで動きの無かったレイナが、ノア以外の全ての者を紅蓮の炎で作られた結界で閉じ込め隔離してしまう。
中では外との情報は全て遮断されており、視界も聴覚も魔気すらも外のことは何も感じることが出来ない。
「え、なにこれやばいって!爺どうにかしなさいよ!」
「うむ。これは儂らで破壊するのはちと骨が折れるわい。」
「噓でしょ?どうすんのよ!」
「まぁセシル嬢が外から壊してくれるのを待つしかあるまいて。」
「はぁ、最悪。」
中でこのような会話が行われていることもつゆ知らず
レイナは一歩一歩ノアに近づいて行く。
手を伸ばしたら触れてしまえるようなそんな距離まで近寄ると
「レイナ良かった無事だったんだね。」
ノアの一言にレイナは止まってしまう。
「ごめんねノア。私無事じゃないの。」
「ん?」
「あの後魔族を追いかけて地下迷宮の最深部まで潜って追い詰めたつもりが、私負けちゃった。弱いから。」
「うん、気付かなくてごめん。」
「ううん。何も言わずに魔族を追いかけた私が悪い。それで、負けた私はそのままここに、魔界に連れて来られたの。」
「やっぱり拉致られたんだね。それからどうなった?」
「それから、麻痺毒で動けない私は犯されそうになったから自殺したの。舌を嚙み切って。」
「...」
「ここからは聞いた情報だけどその魔族は私が死んだ後すぐに発見したオリバーが痛めつけて殺したそうよ。死んだ私の身体すら弄ぶ寸前だったらしいわ。」
ノアは黙ってレイナを抱きしめた。
「ごめん...守れなくて。本当にごめん...」
レイナはいつの間にか頬をつたう涙を拭うこともせずにノアを抱きしめ続けた。
「良いのかな? 私、ノアの近くに居てもいいのかな?」
「当たり前だろ。」
「あの魔族にあちこち身体を触られて汚れちゃったよ。それにもう、人間ですらない。魔族になっちゃった。」
「そんなこと、どうでも良い。今まで通りそばに居てくれ。」
「うん、居たいよノア。好きだよ。ずっと前から好きでした。愛してる。これからもそばに居させて。」
そう言って泣き崩れるレイナを強く抱きしめてノアは耳元何かをささやく。
少しの間レイナが泣き止むまで二人は抱き合っていた。
ピキピキピキッ...
ガラスにヒビが入り、割れるような音と共にレイナの施した結界を破って出てきたのはクロエだ。
炎の結界すら凍らせて、破壊してしまっている。
「あらぁ、レイナさん。自我が残っているのね。良かった、本当に良かった。」
「クロエ凄い、あれを凍らせるなんて。」
「ところで、それ。私も混ぜて欲しいわぁ。」
「うん、クロエも仲良くし...」
クロエはレイナに近づくと、そっと優しく抱き寄せる。
「もうこんな膨大な力を手に入れてしまった後では不要かもしれないけど、私のこともお姉さんだと思って頼ってね。これでも魔法は結構得意なのよ。」
「ありがとうクロエ...」
ノアを通して小さい頃のレイナを、今までずっと見て来たクロエからすると、今回の件は居ても立っても居られないような気持ちだったのだろう。
魔剣グラムへのみ転移出来るという限定的な魔法を使用して救出の手伝いをしに来たのだが、レイナは既に魔族化してしまったので結果無事ではなかったが、生きてまた再開できた喜びで少し涙ぐんでいるクロエだった。
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