Episode72
自分の変わりように呆気にとられていると次々と魔族が起き、状況を察したのか跪いていく。
小柄で可愛らしい服装の女の子。
白髪と白髭を蓄えたおじいさん。
色黒で若そうなお兄さん。
そして魔族一の美人だと言われても疑わないような容姿をしているセシル。
性別も年齢もバラバラでぱっと見は全く以て、悪い魔族だとは見えない人たちだとレイナは思う。
だが何故だろう?皆ガタガタと震えている。
寒いのだろうか?よく見るとセシルも鏡を持つ手が震えているではないか。
「寒い?」
手が冷たいのだろうか?確認するためにセシルの手に少し触れてみる。
ガシャンッ!!
「ひっ、す、すみません!!」
セシルが驚き鏡を落としてしまったのだ。
「急に触ってごめんね。」
「いえ、滅相もございません。」
本当に寒いのか心なしか先程よりも顔が青ざめてきているセシル。
先ほどよりも震えも大きくなっている気がする。
ここはいっそのこと、聞いてみようかな。
「なんで皆震えているの?寒いの?」
セシルを含め他の3人の魔族は驚いているようすだ。
寒くはないのだろうか?私って寒いの得意だったっけ?
どうしてだろう?そう思っているとセシルが申し訳無さそうに口を開く。
「恐れ入りますが、魔王様の魔気が強力過ぎて当てられてしまっている状況でございます。少し抑えてはいただけないでしょうか?」
「え、そうなの? ごめんね。 やってみる。」
少しずつだが魔気が抑えられ、小さくなっていく。
今では普通に呼吸もできるが、先程は窒息するかと思うぐらいの重く強い魔気だった。
どう考えても次元が違う。こんなのは初めてだ。
しかし、セシルは内心歓喜している。
無意識にあれ程までの魔気を垂れ流しにしてしまうような、そんなレベルの者はいくら魔族と言っても存在しない。
正真正銘、最強の魔族だ。
現在、生きている如何なる種族の者でもこの魔王様には勝てないだろう。
存在することだけでもあれ程の魔気なのだ。
しかも未だルージュ様の記憶が戻っていないという。
そんなことがあるのだろうか?
ルージュ様でない只の小娘ですらこの有様である。
セシルは恋焦がれて待ちに待ったこの瞬間だった。
何百何千と想像しシュミレーションしてきたが、その何倍も上回るレベルだったのだ。
だが正直セシルはこれが魔王様でなければ脱兎の如く、逃げ出したいとまで思った。
4人いや、オリバーを含めた摩天楼5人でもまず勝てない。
敵対しようものなら、逃げることすらできる筈もないだろう。
死。そう確実な死が一歩ずつ確実に近づいて来ている、そんな気分だ。
「どうかな?皆大丈夫?ごめんね?」
「とんでもございません。お手を煩わせてしまい申し訳ございませんでした。」
魔王様であられるにも関わらず、配下を心配し、謝ってみせる姿にセシル達は困惑しつつも安堵するのだった。
これがルージュ・メテオノール様であれば、私達は殺されていただろう。 と。
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