Episode71
「はっ!」
目を覚ましたレイナは異様な光景を見て脳内がフリーズする。
仰向けで寝ていることは分かる。左右に首振ってみるが薄暗くよく見えない。
礼拝堂?ここはどこ?
「綺麗...」
頭の上の方には大きな窓にはステンドグラスがはめ込まれており、そこには真っ赤な髪をなびかせた美しい女性が炎を纏っている姿が描かれている。
まて、私はここで何をしているの?
先程までなにをしていたんだっけ...?
そうだ...魔族を追いかけ戦っていたんだ。
いや、負けたんだ。そうだった、敗北したのだ。思い出してきた。
敗北し、捕まった私は魔族に拷問され痛めつけられた挙句、辱められるところで自害したのだ。
そう私は死んだのだ。
もしかして、ノアが私を見つけ出し蘇生魔法をかけてくれたのだろうか?
だが、上半身を起こし座り込むとレイナの淡い期待は儚く散ることとなった。
辺りには魔族と思われる者が4体倒れている。
どれも外傷はないように見受けられる。
少し考えているとレイナの脳がやっと働き始める。
状況を把握しようと辺りを散策することにした。
「私は...どうなったの...?」
祭壇から降り、ステンドグラスから漏れる明かりの元へと歩く。
「あ。」
それに気が付いたレイナは声が漏れてしまう。
意識を失っているか、若しくは死んでいると思っていた魔族の一人がレイナに対して跪いているのだ。
女性の魔族で薄暗くてよく見えないが、凄く美人なのだとそれでも分かる。
「誰...?」
「セシル・ティレモアと申します。セシルとお呼びください。」
セシルの首にはⅠが刻まれている。これは摩天楼の印だと思い出す。
「魔族なの?」
「はっ。 魔王様におかれましては、お気分はいかがでしょうか? 魔王様に降臨していただくために、魔宝玉を使用しました。 ここに居ないもう一人を含め5人で魔宝玉が割れ弾けるまで魔力と血液を注ぎ込みましたがその後、数分間でしょうか、気を失ってしまい今起きたと言うところでございます。 他の者もそろそろ起きるかと思います。」
!?
「魔王様...私が?」
この魔族は...セシルと言ったか。何を言っているのだろう?
私は人間だ。
「はい。 まだ、記憶まではお戻りでないみたいですね。 ですがしっかりとルージュ・メテオノール様のお姿へとお戻りになっておりますよ。 失礼いたします。」
セシルはそう言うと立ち上がりレイナへ向かって一礼する。
パチンッ!
セシルが指を弾くとステンドグラスからの明かりだけだった薄暗い室内の至る所に明かりが灯る。
「眩しいっ!」
急に明るくなった室内に目が眩み、目を薄めるレイナ。
大きな鏡を持ってレイナの前へ来るセシル。
「え、嘘...」
そう、レイナが驚くのも無理もないだろう。
何故なら、長く美しかった黒髪が、燃え盛る炎のような赤。紅蓮に染まっていたのだ。
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