Episode70
「はっ!」
目を覚ましたシュヴァルツは異様な光景に脳内がフリーズする。
ノアの顔がかなり近いのだ。
もっと詳しく説明すると、下から見上げたノアの顔が目の前にあるのだ。
「綺麗...」
白い髪の毛に白く長いまつげ、アルビノかと疑うくらい色白の美形主人が目の前に居るのだ。
私は何をしている?
先ほどまでなにを...?
そうだ魔族が現れ戦っていたのだ。
なんで?
レイナさんを救出しに来たのだ。
あ、思い出してきた。
そういえば、倒したはずの魔族に後ろから攻撃されたと思ったら、気付いたら今こうなってるのだ。
やってしまった!
私が主人を守る立場でありながら、こうして守られてしまっているではないか。
シュヴァルツの脳が働き始め、やっと状況を理解できた時にはもう既に遅し。
「あ、シュヴァルツ。気付いた? 大丈夫? ヒールはかけたけど。」
「の...ありゅじ。ありがとうございます...」
「ごめんね、無理させて。」
甘嚙みしたことをスルーしてくれる優しい主人である。
ちょっとだけしょんぼりとしたノアが不意にシュヴァルツの頭を撫でる。
「い、いえ。滅相もありません。申し訳ございません。こんな醜態をお見せしてしまって...」
ノアに全て預けていた体重がゆっくりと起こされシュヴァルツへと戻される。
地面に座り込んでシュヴァルツを抱えていたノアがシュヴァルツを起こしたのだ。
「ありがとうございます。すみません...」
どんな体勢で居たのか、想像し少し照れるシュヴァルツだった。
「あ。」
起きて初めて気が付いたシュヴァルツは声が漏れてしまう。
二人きりだと思っていたらめちゃくちゃクロエにガン見されていたのだ。
しかも、凄くニヤついて居るではないか。
「な、なんですか!」
「いや~目覚めるや否やノアを見つめて...綺麗とか言っちゃって~」
からかうクロエの後ろに大きな氷の塊を発見する。
!?
「あれはっ...」
氷の中には先ほど戦った魔族が閉じ込められている。
「強そうだったから一気に氷漬けにしちゃった。」
凄くお茶目な言い方をしているが、言っている内容はかなり物騒である。
パチンッ!
クロエが指を弾くと氷と共に魔族も粉々に砕け散った。
「ここまでとは。」
そうシュヴァルツが驚くのも無理もない。
何故なら一度シュヴァルツは同じ魔法を喰らっているのだ。
その時は自力で抜け出せるくらいだったのだが、今回目の前で見たこの氷魔法は誰もが知っている魔法とは次元が違うのだ。
中で抵抗ができないようにきっとあの氷の中は時間をも凍結させて止めてしまっているのだろう。
正真正銘、最強の魔女だ。
現在生きているいかなる種族のいかなる者でもこの厄災の魔女クロエには勝てない。
戦ってはいけない者なのだ。
私へ同じ魔法をかけた時には、物理的に凍らせただけで時間凍結はしていないのだろう。
私は最初から手加減されていたのだ。
正直シュヴァルツはクロエが仲間でなければ言葉の通り、尻尾を巻いて逃げ出したいとまで思っている。
タイマンではまず勝てない。逃げさせてもくれない。
冷たい死が待つのみである。
「あ~らぁ。そんなに見つめて、今度は私に惚れた?」
「いえ、結構です。」
シュヴァルツはそうでもないな。と心の中で前言撤回した。
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