Episode66
「マスター達戻ってこないですねー。」
「ええ、嫌な感じねぇ。悪い事ことが起こってなければいいんだけど...」
手頃な岩に腰掛け、地下迷宮『ヘラ』の入り口を眺める二人。
「あ、ミノ出てきました。」
「は~い、アイス。」
ミノタウロスは即座に氷漬けになってしまう。
「すっごーい! あれ死んだの? 即死なの!?」
いつにも増して興奮しているアリア。
「こんな遠距離から敵を凍らせることが出来るなんて凄過ぎます!!」
「あらぁ、そんなに褒めてくれるのね?」
クロエもまんざらでもないようで、頬に手を当てて喜んでいる。
「あれ、でも魔石になりませんね?」
クロエが指をパチンと弾くと氷漬けになっていたミノタウロスは、氷諸共 砕け散った。
「かっこいいー!!」
「あらあら~。」
はしゃぐアリアを見て嬉しそうなクロエ。
二人はさながら親子のようであった。
***
3時間後
「いや、マスターの武勇伝面白すぎー! ってかあの二人帰ってくるの遅くないですか?」
既に空には星が輝き、辺りでは虫の音楽会が開催されている。
クロエとアリアのお留守番組は、二人で焚火を囲んでノアの昔話に花を咲かせていた。
「ミノタウロスもここ一時間くらいは出てきてないわねぇ。」
「もう収まったっぽいですよね。」
あれから2体ほど出てきたミノタウロスも出てこなくなり、勿論ノア達も戻ってこない。
すると、地下迷宮と逆の方から複数の足音が聞こえてくる。
「はぁ~やっと着いたっす!」
「近くの転移陣から少し歩いただけじゃないの!」
「そうだ今からが本番だぜ!」
「だな。」
「がんばりますぅ」
わいわいとやって来たのはカイと紅の4人組だ。
「あれ、先客が居るっすね。こんばんはっす!」
カイは松明と地面に置くと、二人に挨拶する。
「こんばんはー!」
「どうも~。」
アリアはいつもの癖で営業スマイルで挨拶をする。
クロエはいたって普通だ。
「え!聖女様じゃないっすか!!」
!?
「聖女ってあの銀狼の聖女様!?」
「ふぇ~光栄ですぅ~!」
リリーは驚き、シンシアは感極まっている。
同じヒーラーということもあり、陰ながらアリアのファンだったようだ。
「こんなところで何やってるんだ?」
「あんたらも地下迷宮の後処理に当てられたのか?」
ジークやウィリアムは聖女のことをシンシアのように神聖視していないようで、普通に話しかけている。
「ちょっと二人共、聖女様には言葉使いを気を付けなさい。」
怒るシンシアにリリーはクスっと笑いながら、まぁまぁと背中を撫で宥めている。
いつもだったら絶対に仲間にはそんなことを言わないようなシンシアだが、憧れの聖女様に無礼を働いてはとキャラ崩壊を起こしている。
「お、おん」
「え...ごめん。」
素直に謝る男二人。
クロエも仲が良いパーティーだなと微笑ましくなり少し笑みをこぼす。
「近いものがあるけど、どっちかというと人を待ってるのよ。皆は此処の見張りの任務かしら?」
「そうっす! ギルマスに押し付けられたっす!」
「今のところ1時間は迷宮からミノが出てきてないから、ゆっくりしたらいいと思います。」
アリアの言葉に一安心する紅。
「「ありがとうございます!」」
一人辺りを見回すカイはため息をつく。
「はぁ~、兄貴居ないっすね~。」
「ノアを探してるなら迷宮の中よ。」
!?
「何で分かったっすか!?」
「まぁ色々あってね。」
「そうなんすか。もしかして兄貴と一緒に居たっすか?」
「そうよ。これだけ人数が居れば大丈夫そうね。アリアちゃん、ちょっとノアの所へ行ってくるわね。」
「え?どうやって...ってもう居ない!?」
「聖女様、今の方は?」
シンシアの質問に皆がアリアに注目する。
「人類最強の魔法使いよ。」
何故かドヤ顔でクロエの自慢をするアリアであった。
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