Episode3
時は戻り、シリウス王国の南西に位置する広大な山脈地帯 通称:竜の谷
竜の谷と言っても下位竜~上位竜まで幅広く様々な竜種が生息している。
上位の竜ほど谷の奥深くに巣を作ると言われている。
「あぁー何で僕がこんな高難度の依頼しなきゃいけないんだよー。しかも、竜の谷まで本当に徒歩じゃん。誰か転送陣作ってよ...」
「こんな所に転送陣あっても誰も来ないかな。」
「確かに。それもそうだけどさ、あのギルマス面倒な高難度依頼しか振ってこないじゃん。あーもう!割に合わないわ~。命がいくつあっても足りないぃ~。」
白色の髪をグシャグシャにかき乱しながらノアは不満そうにカイの顔を睨み付ける。
「ちょっと待ってくださいっす、オイラはギルドに道案内を頼まれただけっすよー!姐さんもなんとか言ってくださいっすー」
「カイ、後ろ!」
レイナは言葉を発すると同時に動く。
「ん?ぎゃあああ翼竜!...す??」
カイが後ろを振り向き、目を見開くその刹那
翼竜の首は斜めにズレ、血しぶきを上げ落ちる。
「流石っす、姐さん。剣神の二つ名は伊達じゃないっすね! マジ見えなかったっす。」
フハハハハ!何言っているんだカイくん君はまだまだだねぇ。
僕なんて翼竜と、それに驚く君の声の ダブルでびっくりしてチビっちゃったよ。
いや、少しだけだからね?
「レイナまた速くなったね、規格外だよなぁ。本当に仲間で心強い限りだよ。」
「ううん、ノアの横に立つために強くなったの私は。まだまだ足りないけど」
え、まだ足りないの?僕の横とかちょっと何言ってるか分かりません。
逆にレイナさんが遠すぎて追いつけないよ!?
追いつけないからおんぶしていってくれませんか?
前方から更に翼竜が集まってくる。
カイは目を輝かせて拾った魔石に頬擦りしている。
「じゃあしっかり守ってね僕弱いから。」
「カイ、下がって。邪魔」
カイは首根っこをレイナに掴まれ、僕の後ろへ投げ飛ばされる。
「ひぃぃい!」
カイに嚙みつこうとしてきた一体の片翼を切り、頭を蹴り上げる。
胸に刀を深く突き刺すと ボッーン!という音と共に
翼竜の全身はたちまち火の粉のように消え去った。
コロン 約3センチくらいの魔石が床に落ちる。
「おぉぉ翼竜の魔石2個目っす!!これ売ったらいくらになると思ってるっすか!1個で軽く一年は食えるんすよ?すげぇ~っす!」
「では案内料として、落ちた魔石は君にあげよう!」
「まじっすか!兄貴最高っす!」
カイは必至に魔石を拾っているが、
その間レイナは次々と集まってくる翼竜を捌いている。
残り4体となった翼竜の1体が、右からレイナへファイアブレスを放つ。
前方に駆けるレイナ。
前からは別の翼竜が今にも嚙みつこうとしている。
それを寸前のところでかわし、頭を踏み台にし宙へ舞う。
上空に居た3体目の顔を切りつけ、視力を奪うと更に踏みつけ、高く飛び上がる。
下から4体目が、飛んで追いかけてきているが既に遅い。
「ライトニング!!」
雷切に瞬間的に放出できる最大の魔力を込め、
真下から迫る4体の翼竜に向かって、刀を横なぎに振る。
ドッーン!!!バチバチバチ!!!
青紫色にバチバチと光る刀身から放たれる凄まじい威力を持った複数の雷が
下に居る翼竜に惜しみなく降り注ぐ。
翼竜は残らず火の粉のように消え去り、
そこには広範囲に黒く焦げ、未だに煙を上げている地面と魔石しか残らなかった。
レイナが使っている武器は普通の刀ではない。
翼竜を一刀両断するあの凄まじい切れ味は、
レイナの腕だけのなせる業ではない。
常に使用者の魔力を一定量吸い続け、刃に電流として変換し流している。
故に、刀身に付くはずの血糊や魔物の脂が蒸発してしまい、切れ味が鈍くならない。
妖刀:雷切
先程の翼竜戦では
身体に刃を突き刺した際、大きな魔力を一気に込めることで
雷切の電流を一時的に跳ね上げたのだ。
刺された内部から、強烈な雷に打たれたようなものである。
そこにレイナの腕が合わされば、翼竜なんて瞬殺である。
上空から放った複数の雷のようなものも、雷切の特性を上手く使いこなしている。
ストッ。しなやかに着地したレイナは刀を鞘に戻しながらこちらへ歩いてくる
「ノア。魔力ポちょうだい。」
「あいよ」
魔力ポーションを軽く投げ渡す。
あれ、そういえばカイはどうしたんだ?
後ろを振り向くと、ガクガク震えながら腰を抜かして青ざめたカイが居た。
どんまい。
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最終、脱ぎます...(ぇ
【作者Twitter】https://twitter.com/yamausayamausa