Episode57
そこは魔界にある魔王城の一室。
長方形の特大サイズのテーブルに椅子が11脚。
最奥の椅子には王冠の刻印が施されており、空席となっている。
その椅子より左右に1脚ずつ椅子は配置されており、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ...とⅩまで続く。
Ⅵ~Ⅹまでは、こちらも空席となっており現在埋まっているのはⅠ~Ⅴまでの5人分となる。
『摩天楼』魔王軍の最大戦力であり、魔王復活を企む者達である。
Ⅰ.セシル・ティレモア 前髪が綺麗に切り揃えられたの水色ミディアムロングヘアの女性魔族
Ⅱ.オリバー・ブラウン 茶色の長い髪を後ろで結んでいる筋肉量が多すぎる男性魔族
Ⅲ.ヘンリー・ベネリット 紫色ショートボブで可愛らしい見た目の女性魔族
Ⅳ.エイデン・シャーチル 長く生き見た目は高齢者である男性魔族
Ⅴ.ジャクソン・サーフィス ドレットヘアの黒でサングラスをかけた男性魔族
その5人が席に座り話し合いを行っている。
本日は20日毎に行われる魔族会議の日である。
コンコンとノック音が響く。
「通せ。」
ジャクソンがドアの内側に立っている白い山羊の頭の執事に向かって指示をした。
ドアの向こうから現れたのは黒い山羊の頭の執事だ。
「会議中失礼いたします。ベゼット様がお戻りになられましたがここへお通しすればよろしかったでしょうか?」
「構わん。通せ。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
ジャクソンに相槌をうった黒い山羊はドアの外へ消えていく。
5分ほど経過しただろうか、再びノック音が鳴り一人の男が現れた。
Ⅹ.ベゼット・トゥアール ノア一行が地下迷宮『ヘラ』にて一番最初に発見した男性魔族である。
汚れた服装のベゼットはテーブルの手前に立つと報告を開始する。
「地下迷宮内で発見した、魔王様の受肉体候補の女ですが、何者かによる妨害を受け奪取に失敗いたしました。」
「なんだと?」
ジャクソンの言葉を遮るように、ヘンリーが発言する。
「は~? お前末端であろうと摩天楼に所属している身で、なに失敗してんだよ? ぶち殺すぞ三下が!!!」
ゴスロリを着こなす少女にしか見えない外見のヘンリーは見た目にそぐわない言葉使いでベゼットを問い詰める。
「す、すみません。妨害者の中には竜王を名乗る竜種の存在も確認しております。」
「は? 竜王がノコノコと迷宮に現れる訳ねぇーだろうがよ!!」
「現に、私の部下のギーヴスが自爆にまで追い込まれております。」
「ふむ。それで竜種が怖くて逃げかえってきたのか?」
口調からは分からないが、ジャクソンからの殺気が漏れ出ている。
「いえ、交戦したのですがとても敵わずやられそうになった所に、ダルトンとメニダが加勢に来てくれたので私はこの件を報告しに参った次第です。」
「それが本当に竜王であれば、二人はもう既に死んだも同然だな。俺で互角といったところだろう。」
「ジャクソンさんで互角...ですか。その妨害者はまだ他に7人ほど居まして、見た感じ雑魚も混ざっていましたが一人人間の女がかなりの殺気を放っていt...」
そこでベゼットの頭が消し飛ぶ。首からは夥しい血液が噴出している。
ヘンリーがベゼットの前まで転移し、手刀で首を刎ねたのだ。
「うるさいよお前。そこで加勢して一緒に倒せば良かったんだろうがゴミが!これだからお前はいつまで経っても雑魚なんだよ糞が! 頭わりぃーんだよボケ!」
口が悪く短気で喧嘩っ早いヘンリーは、服に赤いシミを発見して舌打ちするのであった。
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