Episode56
「くっそ。どうなった...」
口の中に砂でも入ったのだろう、ジャリっと不愉快な歯ごたえと激しい喉の渇きを感じるエンツォ。
「もう大丈夫ですよ。シュヴァルツさんが魔族を倒しましたし、マスターが死傷者の回復と蘇生を行ったところです。」
「はっ!今どういう状況!?」
エンツォの横で死んでいたメイソンが目を覚ます。上半身を何とか起こし、周りを見渡している。
「あぁ、そういうことか。くそ、死んでたのか俺は...」
地べたを殴りつけ、怒りをあらわにするエンツォ。
「いえ、エンツォさんは息はありましたよ。メイソンさんは首飛ばされて亡くなってましたけど。さて、二人とも大丈夫そうなんで私は他の人のところへ行って来ますね。」
そう言うとアリアは立ち上がり一度ニコッと笑うと去っていった。
「なぁ、俺たち何も出来なかったな。」
「うん、そうだね。鍛え直しだね。」
「あぁ。」
そう言って二人はまた寝ころんだ。
「ノア様、全ての者の蘇生を確認、怪我も回復済でしてよ! さすがノア様ですわ!」
「確認ありがとう。ペネロペの所へ加わってあげて。」
「分かりましたわ!」
エリザベスは地下迷宮入口で魔物の警戒に当たる黒天の元へ向かった。
エリザベスと入れ替わりでレイナがこちらへ向かってくる。
「ノア。冒険者たちが言うには、もう一体の魔族が地下迷宮へ入っていったらしい。」
「え、まじで?」
「うん。」
「もう一体いるの? 魔族居すぎでしょ。魔族はなにが狙いなの?クロエ」
「ん~おそらく、私の体に魔王を受肉させようとしてた? のだと思うわ。」
「魔王を受肉!?」
レイナは目を見開いて驚いている。一方シュヴァルツは後ろで控えているが微動だにしていない。
「そうねぇ、クリスタルの近くで話しているのを聞いた感じだと、肉体的に優れている者か総魔力が多い者を探して受肉させることで最強の魔王の復活を目論んでいるんじゃないかしら?」
「魔王ってあの魔王だよな。」
「紅蓮の魔王ルージュ・メテオノールよ。」
「はぁ。聞きたくない名前トップ3だね。」
「ちなみに、私に受肉したら世界が滅ぶわよ。」
「まぁそうだろうな。メイジの中でクロエより優れている者は居ないだろうし。」
「あらぁ? 過大評価なのね。」
「300年前 火・水・土・風の4元素からなる魔法の理論を覆し、今も尚語り継がれるたった一人の氷魔法の使い手 厄災の魔女クロエ 思い出すのに時間がかかったよ。そして、氷魔法を使った時に確信に変わった。なんせ昔の文献で読んだ程度だったからね。」
クロエの目つきが鋭くなる。
「それで、私の正体を知ってノアはどうするのかしら?」
「正直どうでもいいや。過去に何があったかは知らないけれど、今は僕の仲間だし。強いに越したことはないじゃん? 小さいクロエだったら尚良かったんだけどなー。」
「ふふ。 ノア、貴方はやっぱり素敵よ。」
そう言ってクロエはノアに絡みつくように密着する。
ノアは私を恐れない。ノアは私を見捨てない。ノアは私と一緒にいると厄災が降りかかると非難しないのね。
あぁノア、愛おしいわ。食べてしまいたいほどに。
豊潤な肉体がノアに密着する。
ノアは大きいクロエも悪くないかもな。と心が揺らぐのであった。
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