Episode52
「そういえばさ、グラムを使っても頭に声が響かなくなったり、精神的に辛くなくなったりしたんだけどクロエ何かした?」
「ん~? 何かしたかと言われれば、逆に今までがここに来るように誘導してたつもりなんだけど?」
「え?」
「ん?」
二人はお互いの顔を見合わせる
「僕の髪見て」
「白くてかわいいわ。」
クロエは自信あり気に答える。
「違う! これはグラム使い始めてからこうなったんだ! 使う前までは黒だったんだ!」
「え~そうなの? 白の方がいいよ~?」
「いや、違う!! そうじゃない! 僕が言っているのは、グラムを使うと色々負荷がかかってキツイんだけど、それってクロエがしてたのかな?」
ノアはいつにもなくニコニコしながらクロエを問い詰める。
「うん、そう! かな? 助けてもらうために、この武器を扱える程度の人には此処に来て助けてって分かるように魔法で念じてあったのよ~?」
ノアはクロエの両胸を鷲掴みにして強く握る。
「あ゛ぁ? おいこの牛女テメェゴラァ! 俺の今までの苦痛を味わわせてやろうか? あ゛ぁん?」
「痛い! い゛た゛い゛!! やめ、い゛た゛い゛からぁ!!」
クロエは両手をジタバタさせ、痛がっている。
「ごめんなさいだろぉ!? あ゛ぁ?」
「ごめんなさいごめんなさいもうしないから、ゆるしてぇ~!」
クロエは半泣きになりながら自分の乱暴にされた胸を抱き寄せる。
「許して? そんな簡単に許してたら衛兵さんはいらねぇよな?」
「う゛ぅ゛っ」
とうとうクロエが泣き始める。
「許し...て、くだ...さい...」
「え?許されると思ってんの?こんなに僕の髪をさらっさらの白髪にしといて。」
「何でも、します。 許して、ください。もう、握りつぶさないで、お願い...」
クロエは両手で顔を覆い、すすり泣きながら謝っている。
「よし、何でもするんだな?」
「はい、何でも、します。」
「よぉーし、じゃぁ、仲間になってよ。」
「なる...言われなくてもなる。」
「そうなの? まぁ、コキ使うからね。」
「ありがとう~ノア~!」
次の瞬間、ウソ泣きをしていたクロエは満面の笑みでノアに抱き着く。
「ちょっとー! なーにイチャコラしてんだお前はー!!」
アリアに引きはがされかけながらもノアへ密着するクロエ。
そんな茶番を演じたが、クロエはノアにこう言われなくても尽くしているのだろう。
自分を長い封印から解き放ってくれた恩や、魔剣グラムに付与した誘導魔法(得意ではないので失敗)によりノアを苦しめてしまったことへのお詫びという名目でだ。
魔剣グラムを所持している者はグラムを通じて感情や言動を感じることができ、封印されてる中ではすることがないクロエはノアの行動観察のみが唯一の暇つぶし、いや娯楽だった。
何年も共に過ごすうちに、いつの間にかノアの感情にクロエの感情も同期するようになってしまう。
喜怒哀楽を共に過ごし、長期間一緒に居たことからノアという人物がかけがえのないものになってしまったクロエ。
「何かしてほしいことがあったら言ってね? グラムから伝わるのだけれども。」
「んじゃ、僕は働かずに豊かな自然満喫しながらゆっくり生きていきたい。」
「それは無理。」
ノアはスローライフはまだまだ先のようだ。
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