Episode50
「のあ、おろして!」
「どうしたの?」
ノアに降ろしてもらったクロエは、中央にそびえ立つ巨大なクリスタルの元へ歩んでいく。
魔族も居たということもあり、警戒しながらクロエに付いて行くノア達。
「のあ!これこわして!」
「中に何かあるのかなぁ?」
「なかに、ママがいるの!」
「「ママ!?」」
ノアを含めた数人が驚いている。
「だして?」
「シュヴァルツ!」
「承知しました。」
シュヴァルツがここに入る時に隠密魔法である高度な結界を殴り壊した際のように大きく振りかぶる。
ゴォォォォオオン!!!
「なっ!?」
竜化している状態で、恐らく本気で殴り掛かったのであろう。
クリスタルが破壊できなかったことに驚愕しているシュヴァルツ。
「少々お下がりください。」
ノア達はそそくさと5メートル程下がる。
「いいよー!」
「いいよ~!」
ノアの真似をしてクロエもシュヴァルツに叫んでいる。
アリアやエリザベス達もクロエの可愛らしい姿を見てほっこりしている。
「あ~クロエちゃんかわ...」
アリアの言葉を最後まで聞かずにシュヴァルツはクリスタルに向かって魔光を放つ。
!?
クリスタルに1メートル程の大きな傷が付き、クレーターのように抉れている。
「ッチ!」
そのクリスタルに付いたクレーターは白い煙を上げ元の状態へ回復してしまう。
「へぇ、凄いなこのクリスタル。自動修復機能まで付いてるんだ。」
感心しているノアとは裏腹に、シュヴァルツは苛立ちからかガンガンとクリスタルを殴りつけているが壊せていないようだ。
「シュヴァルツ、私がやってみる。」
「はい。」
レイナの申し出に、素直に下がるシュヴァルツ。
「雷刃」
レイナは振り上げた刀を斜めに振り下ろす。
キィィイイイン!!!
やはり弾かれてしまう。
「ライトニング!!」
今度は魔力を一斉放出しながら刀を横薙ぎにする。
クリスタルは少し傷が付くが、元に戻ってしまう。
レイナはこちらへ戻りながら首を横に振る。
「ごめん、駄目だった。」
その後もペネロペ、グレースと挑戦するが、クリスタルの破壊は失敗に終わる。
「主、最後は魔剣を残すのみとなりました。」
「えーグラム使うの?あれ使うと辛...?」
ノアの動きが止まる。
そう、この地下迷宮『ヘラ』攻略中もずっと頭の中で鳴り響いていた声や、倦怠感などの精神的な激しい消耗は魔剣使用時に必ずしも現れる症状だが、ここにたどり着いてから全くと言ってもいいほど感じないのだ。
いや、正確にはこのクリスタルへ近づくにつれて消えていったのだ。
「どうしたの?」
レイナが不安げにノアの顔を覗き込む。
「ううん、やってみるよ。」
ノアはクリスタルの前までやって来る。
「魔力変換 来い、グラム。」
30センチ程の空間が軋み割れる。
その割れ目に手を入れ一気に魔剣は引き抜かれた。
禍々しい魔気を放ちながら黒い刀身に脈打つ赤い紋様はより禍々しさを際立たせる。
周囲に纏う魔気は、使用者の生命力を吸い取り刀身から溢れ出しており黒い炎のように揺らめいている。
あぁ、ようやっとここまで来てくれたのね。
ノア・・・
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!!
ブックマークと★★★★★を押して、やまうさの応援をお願いします。(*'ω'*)
既にブクマ、評価が済んでいる方、最高です!!凄く励みになっております( *´艸`)
次のお話も楽しんでいただけると幸いです♪
【作者Twitter】https://twitter.com/yamausayamausa




