Episode45
ペネロペは牛頭に向かって駆ける。
ゾーイも同時に走り出す。
「来て、ウンディーネ」
青く光り輝く魔法陣から、水の精霊ウンディーネを呼び出したグレース。
その間エリザベスはペネロペやゾーイに強化魔法と付与している。
「アクアボール!」
ウンディーネの放った魔法は水が球状となり相手に飛んでいく魔法なのだが、これだけでは牛頭には到底ダメージを与えられる訳ではない。
案の定牛頭の顔に当たったアクアボールは飛散し消えていく。
だが、今のアクアボールが見くらましになりペネロペが攻撃をする隙ができる。
ペネロペは地を蹴り、牛頭の持っている大斧を足場に、更に上空へ飛び上がる。
牛頭の首にペネロペは全体重を乗せたダガーを振り下ろす。
キィィイイイン!!!!!
ダガーは牛頭の角によって阻まれてしまう。
「ッチ!」
ペネロペは牛頭の顔面を蹴り、その反動で後方へ飛び退く。
飛び退く最中牛頭は大斧を横なぎで振るうが、エリザベスのプロテクトシールドによって大斧の軌道は逸らされ、ペネロペは更に空中で身体を半回転捻りそれを避ける。
牛頭は大斧での追撃を、着地したペネロペに放つ。
ゴォォオオオン!!!
「っしゃー!」
その重い攻撃をゾーイは大楯で受けきった。
刹那、牛頭の右手の親指が一本吹き飛ぶ。
オォォォォオオン!!!!!
牛頭が悲鳴を上げる。
「いいぞリーダー!」
思いがけない負傷に牛頭は怯んでいる。
そこにゾーイは大楯による突進を仕掛ける。
もろに喰らった牛頭はよろけ様に大斧を振るうが、右手の親指を失っているため満足な威力を出せず、上手くゾーイに往なされてしまう。
そしてデジャヴかのようにまた、今度は牛頭の左手の親指が飛ぶ。
オォォォォオオオン!!!!!
牛頭の苦しそうな悲鳴が上がる。
両手を地面に突き本来の牛の姿を連想させるような構えをとる牛頭
そこからとてつもないスピードで繰り出される突進はペネロペを狙っている。
エリザベスはプロテクトシールド3枚を牛頭の前方へ張り突進のスピードを半減させる。
ペネロペとの間に入り込み大楯でそれを受けるゾーイだが、流石に威力が半減しているとはいえ、牛頭の全身全霊で繰り出された突進を耐えることが出来ずに跳ね飛ばされる。
「ヒール!」
間髪入れずにエリザベスによる回復魔法がかかり、壁に激突したゾーイだったが即死することなく立ち上がる。
「ヤバかったぜ今のは。」
「ヒール」
更に壁に激突したダメージも回復したゾーイに牛頭の追撃が襲う。
ゾーイの前にはエリザベスが張ったプロテクトシールドが一枚。
そこに、火の精霊サラマンダーを呼び出したグレースによる攻撃が放たれる。
「ファイアブレス!」
牛頭はサラマンダーのファイアブレスにより追撃の方向がずらされ、壁に激突する。
エリザベスのプロテクトシールドはゾーイを守るための物ではなく、ファイアブレスの熱からゾーイを守るための物だったのだ。
牛頭は全身が火傷により焼け爛れ、煙が立ち込める。目も焼け、視界も既に無いだろう。
辛うじて息がある状態の牛頭だが、次の瞬間首がズレ落ち塵となった。
これが、SS級冒険者パーティー蒼天 改め、クラン黒薔薇 所属 冒険者パーティー 黒天の初陣となった。
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