Episode39
「じゃあノアお兄ちゃんのお家に帰ろうか!」
「やだーっ!」
小さな手でペチペチとノアの顔を叩くクロエ。
その横で急に降ろされてしりもちをつき、不満気な表情を浮かべるアリア。
「ノアさん、この子何故か上層へ行きたがらないんです。私達がここで足を止めていた原因の一つがそれなのです。」
良く見るとそこそこ可愛い顔をしているペネロペは、短く切り揃えた髪をくしゃくしゃっと触りながら困った顔をしている。
「そうなの?なんでだろう。このまま下層へ下りてもボス部屋しかないはずなんだけど。」
「ボス...が見てみたいのですわっ!!」
グレースに対して自信満々で大きな胸を揺らしながら、ドヤ顔をしているエリザベス
こいつの栄養はきっと脳ではなく胸に行ってしまったのだろう。
「いや、それは無いだろ...」
「そだね。」
ゾーイとグレースは少し呆れているようだ。
「あっち」
不意にクロエが下層への方向を指差す。
「なに、こっちに行きたいの?」
クロエの指差す方にグレースが居て、ノアの視界に入る。
「グレース、シュヴァルツはもう君たちには攻撃しないから大丈夫だからね。」
グレースは硬直した、まさか自分に不死王が話しかけて来るとは思ってもいなかった。
死の象徴のような存在のシュヴァルツをも従えることが出来る実力の持ち主であり、悪魔のような存在としか思えないノアにそのような言葉をかけられたのだ。
「は...い。」
バッキバキに緊張しているグレースの頭をゾーイが撫でる。
「じゃあ行きたいところへ行こうねぇ!」
クロエをひょいと肩車するとノアは下層へ向けて歩き出す。
レイナは少し先で魔物を警戒しながら進む、シュヴァルツは護衛のためにノアの少し後ろに付いている。
「私達も行こう。」
「ええ、そうですわね。」
ペネロペの言葉にそれぞれが動き出す。
蒼天の横を歩幅を合わせて歩き挨拶するアリア。
「蒼天の皆様、お初にお目にかかります。アリアと申します。ヒーラーですので、回復魔法はお任せください。」
「えっ?ヒーラーでアリア...ってもしかして、聖女アリア様ですの!?」
「なんだ知ってるのかエリザベス」
「何言ってるんですのゾーイ、聖女アリア様と言えばノア様が唯一育てたと言われている愛弟子で、部位欠損すら治してしまう正真正銘の聖女様でしてよ!」
「お、おう。凄い人なんだな!」
エリザベスの迫力に押され内容が頭に入っていないゾーイ。
「ん、そういえば現在は銀狼に入っていると聞いたことがありますね。」
「ええ、先程銀狼は解散しまして、マスターのクランに入れていただける事になりました。」
アリアの解散宣言に驚きを露わにするペネロペだったが、それ以上に気になる事があった。
「ノアさんはもうクランを作ったのですか?」
「確か、そうだとさっき言ってましたが。」
「失礼。」
ペネロペは速足でノアの所へ向かって行った。
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