Episode36
「そういえばマスター」
「ん?」
背中に密着する柔らかな感触に慣れてきた頃、アリアが切り出す。
「シュヴァルツさんとはいつから一緒に行動してるんですか?」
「まぁ話すと長くなるんだけど、一つ前の依頼で竜の谷へ行ったんだけどね」
「え、流石にマスターでも竜の谷とか、ギルマスは無茶苦茶言いますね。」
「うんうん。そう思うよね。んで、なんやらかんやらがあって、新竜王になったシュヴァルツが仲間になりました。パチパチパチ~」
ノアはアリアを背負っていて拍手が出来ないので口で言ったが、アリアの代わりに魔石を拾っていたシュヴァルツはハッとした顔をし、拍手する。
「し...んりゅうおう!?」
「ちょっと耳元で叫ばないでよ。」
「いやいやいやいや、シュヴァルツさんって竜王なんですか!?」
「はい、主にはそれはそれは完膚なきまでに叩き潰され、仲間になれと脅されました。」
シュヴァルツは自分の身体を抱き照れているような演技をする。
「え?冗談だよね?」
「うん。冗談だよ。」
ノアは至って冷静に否定した。
「ですよねー?」
ホッとしたのは束の間。
「いえ、1対1の戦闘で私は初めて、しかも人間に瀕死の状態まで追い込まれ、更に旧竜王とその仲間数百体と言う敵勢力が迫る中、仲間になるなら救ってやると...あのゴミを見るかのように蔑む眼。この御方には敵わないと思い私は降伏したのです。」
ここぞとばかりにシュヴァルツは、涙を拭うフリまでして話を盛る。
「ちょま、シュヴァルツさんにそんなことしたの!?」
「いや、間違っている間違っているぞ!そんな...あれ?ほぼあってる?」
「あってるんかいっ!」
思わずアリアは突っ込んでしまう。
「ええ、あってます。」
シュヴァルツは何故かドヤ顔である。
「マスターって偶にドSなところが垣間見えますよね。」
「そうかな?だいぶ優しくしたつもりなんだけどね。」
「あ、それで優しいって思ってるんだ...」
「うんそうだよ?あれで屈しなかったら、指全てを切断し、目玉をくり抜いてから」
「わーわーわー聞こえないーわーわーわー」
「主様、何卒ご容赦を・・・」
あれ可笑しいな?あんなに邪悪な雰囲気が溢れ出していたシュヴァルツが小刻みに震えている。
フリをしている。
ノアに対して冗談を言えるほどには、シュヴァルツも慣れてきたようだ。
「大丈夫大丈夫!僕の可愛い可愛い仲間には何もしないって!」
「本当にそうでしょうか?」
ノアに対してジト目で見つめるシュヴァルツをみてアリアは、竜王と聞いて驚きはしたが自分の信じるノアを信じる事にしようと思ったのだった。
まぁ言い換えると考えることを放棄したとも言えるのだが。
「ではシュヴァルツさん!これからよろしくお願いしますね!」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「そういうことは降りてから言え。」
アリアはてへっと言いながら舌を出した。
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