Episode35
地下迷宮の中は薄暗く洞窟のように壁や天井は岩肌だ。
その岩肌には微々たる魔力は宿っており、所々にある魔結晶が淡く光り迷宮内を照らしている。
コツッコツッコツッ。
前衛はレイナが、本人希望により一人で出てくる魔物全てを切り伏せている。
「シュヴァルツと戦った時、自分の無力さを痛感した。これは良い訓練になる。」
と言って聞かなかったのだ。
レイナの後をノア、アリアにシュヴァルツと続く。
アリアはレイナが大量生産している魔石を、見逃すことなく一生懸命拾い集めている。
「あ、そういやさぁ。クラン作ったんだよね。」
「師匠が!?入ります!是非入れてください!!」
アリアは食い気味でノアに言い寄る。
「ほほーう。良いだろう、敬意と愛を込めてマスターとお呼び」
「はい!愛してます!マスター!!」
ちょっと演技臭いが、アリアはぶりっ子モードだ。
アリアは冒険者になって目標としたのは勿論ノアだった。
冒険者になって修行して強くなって、師匠の役に立ちたい。
アリアは師匠が気まぐれに自分の事を育てたと思っており、必要として欲しい認めてほしいと言った承認欲求に従い冒険者となることを決めた。
「アリアちゃんはまだまだだね~。冒険者なんてそんな危ない仕事辞めて、ギルドの受付とかなんかもっと安全な仕事したらいいと思うよ。」
昔ノアに言われたこの言葉が、今までずっとアリアの胸につっかえていたのだ。
だが、実のところノアはたまたまアリアを選んだのではない。
潜在魔力量が多く、ヒーラーとしてのセンスがあり、教えた技術を悪用しないような可愛い子を選んでいる。
だが、育てているうちにただの親バカになってしまい、純粋に危ない所に行ってほしくなかっただけなのだ。
それでも可愛い娘の冒険者になりたいと言う思いを全否定することも出来ず、今に至るのだ。
「でも、一度蘇生されると身体がかなり弱体化するからね。大丈夫?無理しないでね。」
「はい、マスター。身体が重く魔力量もだいぶ減ってしまったように感じます。」
「まぁ少しずつ元に戻していけば良いよ。」
「はい。あ!!マスター身体が辛いなー限界かもーおぶってください。」
「え?今めちゃくちゃ棒読みだったけど、気のせいかな?おっふ!びっくりした~。」
急に背中に飛び付いて来て、しがみついているアリアは悪い笑みを浮かべている。
「はぁ、しょうがないね安地までだよ?」
「マスター優し~い~♪」
これは暫く使えるな。と、ノアの背中で息遣いが荒くなるアリア。
あぁいい匂い!スーハースーハー!!
大好きなノアに密着出来て、興奮が抑えられないアリアであった。
「ちょっ!背中でスリスリするな!降ろすよ!」
「大丈夫ですマスター、先っぽだけ、先っぽだけだからぁ!」
「いや、何の話だよ!!」
ノアの事になると、バカになる聖女がそこに居た。
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