Episode33
シュヴァルツが去った後も、迷宮から数度ミノタウロスが出てきた。
「くっそこのままじゃジリ貧だぞっ!」
「うん、まずいね。」
メイソンにそう言いながら、エンツォはミノタウロスの両目にダガーを突き刺し倒す。
「フレイヤ今だ!」
「ギガ・フレア!!」
フリッツの上手い誘導のおかげもあり、別の3体のミノタウロスがまとめて消滅する。
「キリがない!」
フレイヤの魔力はまだ90%以上残ってはいるが、いや、既に10%もの魔力を消費したと考えた方が良いだろう。この戦いがいつまで続くのか分からないのだから...
「ちょっと後ろを見て。」
メイソンの呼びかけで白夜のメンバーは後ろを振り返る。
そこには先程の黒い鎧のナニカと見知った顔がこちらへ向かって来ているのだ。
「おいおい、ありゃー不死王じゃねーのか?」
「剣神レイナも居るわよ。」
エンツォとフレイヤが驚いている。
「さっきのバケモノは不死王の連れだったんだ。」
「後ろに居るのは...聖女!?さっきは完全に死んでたはず・・・これが不死王の力なのか。」
メイソンは青ざめ、フリッツは何やらブツブツいっているようだ。
「あちゃー酷いねー」
あちこちで倒れている冒険者を見て、独り言を言うノア。
「おい不死王!聖女はお前が蘇生させたのか?」
「ん?久しいねエンツォ。そうだよ。アリアちゃんは僕の弟子だからね。」
「マジかよ、流石不死王ってか。」
エンツォは珍しくノアを褒めているようだ。
「そうだったの。ごめんねさっきは守れなくて」
フレイヤが申し訳なさそうにアリアに謝罪する。
「いえ、こちらこそすみませんでした。ウチのパーティーがご無理を言って前衛を譲ってもらったのに...」
「へぇ、んでさぁ、そこで気絶したフリしてる奴は銀狼の子かな?」
ノアはイライジャへ近づき腹部を思い切り蹴り上げる。
「グハッ!!ゴホッゴハッ!」
「ほら起きてた」
「ひいぃ!や、やめてくれ。俺は悪くないんだ!」
「あ?」
ノアは地面に落ちている誰の物かも分からない剣を拾い上げる。
「何があったのか、教えてくれるかな?」
「な、なにも悪いことはしてない!!」
「お前さ、最初から気絶なんてしてなかったんだろ?」
!?
「な、なんでそれを!?いぎゃあああああああああ!!!!」
答えた瞬間にノアは持っていた剣をイライジャの脚に突き刺した。
「いだいっ!!いだいいいいい!!ああああああ!!」
アリアは目を見開く。
そうだあの時、傷は全て回復し、状態異常回復魔法もかけた。
普通であれば意識が戻り、すぐに起きるはずなのだ。
だけど、イライジャは起きなかった。いや、起きていたが目を開けなかったのだ。
そういえば銀狼に勧誘された時も、イライジャ以外のメンバーが迷宮で事故に合って自分だけ運良く助かったようなことを話していた気がする。
そうか、我が身大事とばかりにタンクとしての役目を放棄し、死体の真似事をしてミノタウロスが居なくなったら逃げようとしていたのだろう。
それでパーティーメンバーが全滅してもまた集めたら良いのだと。
アリアは刺さった剣を引き抜く。
「ぎゃあああああああ」
「うるさい。」
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