Episode28
「なんてことだ。」
イザベラは頭を抱えている。
「そもそも人化出来る竜なんて聞いたことが無い。本人がそう言うなら、そうなんだろうが・・・全く貴様はとんでもない奴だよもう。竜の王を従えるなんて。信じ難いよ。」
「うん、僕らも最初はビビったからね。」
「ではこの竜王が原因で生息地に変化が現れ、それが依頼となった。と言う事か?」
「うん、そうだと思う。実際、シュヴァルツが前竜王を殴り殺した瞬間に雑魚は散ったし、残った赤竜もレイナが殲滅したから、もう竜の谷の竜たちはだいぶ少なくなったんじゃないかな。」
「殴り殺した...のか。そ、そうか、避難民は全て商業ギルドの方で引き取りが決まっている。何かしらの仕事と衣食住は提供してくれるらしい。」
「そうか。じゃあ安心だな。そもそも、なんであんなに危険な所に住んでいたんだ?」
「あの村は年寄りも多くてな、中々何も無しに移住っていうのは難しいのかもな。距離もある。常人であれば、王国まで3日もかかる道のりだしな。」
「そっか。」
ノアは思い出したかの様にぽんと手を叩く。
「あ、それからクラン作るわ。」
「うむ。それに関しては私も賛成だ。」
「まぁずっと前から言われてたからなイザベラには。」
「あぁ。強き者には責任が付き纏うものだ。」
「結局うちのクランに面倒な依頼やら危険なのを押し付ける気だろ!」
「そうだ。クラン創設につきルーク王子がノアには男爵の地位を約束するとおっしゃっていたぞ。」
「お、まじ?やるじゃんルーク!んじゃクランごと貴族ってこと?って話を逸らすな!」
「うむ。そうなる。家名はどうするのだ?」
「家名はそのまま、ブラック・ローズでいいよ。」
「ノア・ブラック・ローズか。」
「家紋も黒い薔薇でよろしく」
「うむ。手配しよう。クランローブとマントも作るのだろう?」
「そうだね、折角だし。黒色でお願い。」
「分かった。ところで、いつ迷宮へ向かうのだ?今も冒険者達が出てくる魔物を抑えているのだぞ?」
「いや、そっちがここに連れて来たんじゃんか。それに抑えるって言ったって、まだ出てくる数は少しでしょ?」
「そうだな、一応依頼報告を聞きたくてな。30分ほど前の定例報告では一日で3~5体の魔物が出てきているとの事だ。」
「まだまだ大丈夫じゃん。しかも白夜の連中もいるんでしょ?フレイヤなら出て来た魔物なんてちゃちゃっと丸焦げにしてくれるって。蒼天もここへ寄らずに向かってくれたんだし。だから、三日間くらいここでまったりしててもいいよね?」
「はぁ、何を言ってるんだ。さっさと準備をして迎え。貴様が現地に居るだけで、ゾンビアタックができるんだ。死者の数も激減するしな。それとも、そこの律儀な竜王でも送り込むつもりか?」
「それも考えたんだけどね、シュヴァルツが行ったら多分、迷宮が無くなると思う。」
「ご命令とあらば。」
シュヴァルツは無表情でそう言った。
「・・・それは冗談ではなさそうだな。」
冗談とかそう言うの通じないタイプだ。イザベラはそう悟った。
さて、ぼちぼち向かいますか。
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