Episode27
ノアはグロッキー状態だ。
別に酒をたらふく飲んだわけでも、病気になったわけでもない。
魔剣グラムを使用したことによる精神力の疲弊。
それがやって来たのだ。
もういっそのこと死んでしまいたいと思ってしまう様な鬱状態に陥り、何もやる気が起こらない。
迷宮も、依頼も食事も風呂もなにもやりたくないしできない。
唯一レイナの膝枕、いや、太股枕で眠っている時だけは心が安らぐのだ(※思い込み
それが今ではどうだろう。
足のマッサージしてくれているシュヴァルツも加わり、ノアは心身ともに癒されているのだ。
まぁ実際は気が紛れる程度だが。
「あ~そこそこ。気持ちいい~」
「左様でございますか。それは何よりです。」
「ノア。あ~ん」
「あ~ん♪」
今度はレイナが剝いていたリンゴを、フォークに指して口に運んでくれる。
「ん~おいひい!」
ノアは魔剣グラムを今まで何回も何十回も使用してきたので正直これぐらいの余裕を見せることが出来るくらいは慣れている。
それこそ最初の1回目なんかは10日間の高熱に加え頭の中では魔剣が囁いてくるのがまじでキツかった。
魔剣を抜いたその瞬間からそれは起きる。
「たす...け...て。たす、けて。おね、が、い。」
何年も何年も同じようにノアの頭に直接語りかけてくるのだ。
「いったい人の部屋で何をやっているんだ貴様等は!!」
ここは冒険者ギルドのマスターであるイザベラの仕事部屋である。
「戻って早々呼んだのはそっちじゃんかよー」
ノアの言っていることは間違いではない。
あの後朝になり、クレアの魔法でシリウス王国まで帰還したノア達を、ギルド職員が捕まえここに連れて来たのだ。
「帰ってすぐ迷宮とか嫌なんですけど~?もう無理なんだけど?死んじゃうんですけどおお!」
「貴様は不死身だろ!」
「そんな事言って、僕が死んだらイザベラ泣いちゃうくせにー。」
「悲しむぐらいはしてやる。そんな事どうだっていいんだ。暴走しかけている地下迷宮『ヘラ』の件だが。」
「ん?『ヘラ』なの?あそこの難易度ってB級程度じゃなかったっけ?まぁいいか。」
「ゴホンッ!先ずはそちらの女性の紹介をしてくれないか?」
「ん?あぁシュヴァルツ。現竜王だよ。」
ノアはリンゴをモシャモシャ食べながら適当にサラっと紹介する。
「!? はっ?? 」
まぁイザベラの反応は普通にそうなるよね。
「お初にお目にかかります。シュヴァルツと申します。黒竜である私はノア様に破れ、死に逝く命を救われ前竜王からも守っていただきました。そして調子に乗っていた前竜王を殺し、この度竜王の座を奪い取りました。現在はノア様に仕えさせていただいております。不束者ではありますが、よろしくお願い申し上げます。」
「・・・」
しっかりしてる!竜なのに凄くしっかりしてる!律儀だねぇ。
突っ込み所があり過ぎてイザベラがショートした様だ。
あ、そこ気持ちいい。あ~いいわ~マッサージ。
挨拶中もマッサージは継続である。
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