Episode24
「ノア様ぁーー!!」
エリザベスが遠くに居るノアに手を振る。
シュヴァルツの視線がエリザベスへと移り、止まる。
死に際に咄嗟にブラフをかますなんて、実に人間らしく貧弱で滑稽ではありませんか。
ただ、他の意識のある2人と比べるとこの金髪の小娘だけやけに落ち着いている。
心音も一定のリズムを刻んでおり、自分が死ぬ間際の悪足搔きとは到底思えないのだ。
「そこの金髪、貴様如き人間が我が主の名前を簡単に口に出すとは、どの様な関係でしょう?」
「私はエリザベス・フォン・ベンブルック。王国三大貴族でありノア様のパトロンでしてよ!」
「よっと。あ、エリーじゃんこんな所で何してるの?」
大きな魔石を抱えてほくほく顔のノアがやって来た。
「ノア様お久しぶりですわ!わたくし、この離れ離れの期間が長すぎて会いに来てしまいましたわ!」
「うん7日前くらいに会ったけどね。」
シュヴァルツは顔を覆っていたヘルムを解除する。
すると黒い靄になり身体の鎧に吸収されて消えた。
シュヴァルツの顔が露わになり蒼天の3人は絶句する。
絶世の美女と例える他にない様な整った顔立ちであるのだが、とても冷たく冷酷な印象を受けるのだ。
「主とご関係のある方々でしたか、無礼をお許しください。」
シュヴァルツは蒼天へ向かって謝罪する。
「蒼天のみんなも久しぶりだね。あ、そうか。シュヴァルツ魔気を抑えてね。強すぎて身体に害みたいだ。」
「承知いたしました。」
シュヴァルツの魔気は一瞬で感じ取れなくなるほどに小さくなり、蒼天のメンバーは安堵した。
「アルティメット・キュアヒーリング」
蒼天に状態異常と治癒魔法の両方を併せ持つ範囲回復魔法をかけておく。
「ありがとうございます。助かります。」
リーダーであるペネロペはまだ強張る身体を無理にでも動かしノアに一礼をする。
「うっ。。。」「あれ、私...」
グレースとクレアが目覚める。
「どうなったの?」
「一応あの黒いバケモノ竜騎士は不死王が使役してるみたいだな」
ゾーイの一言でグレースの恐怖の対象がシュヴァルツからノアへ移る。
クレアは状況が飲み込めないまま、ポカーンとしている。
「流石不死王・・・ギルドマスターが認め、国王すら認可した規格外の人間。人類最初の冒険者ランクSSSへの到達者であり、王国最重要人物の1人。いや最早人類ではなくバケモノ寄りの存在なのでしょうね。」
エリザベス以外の蒼天のメンバーは、今日死んでいたかもしれないと言うことを実感し震えるのだった。
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