Episode22
「とりあえず不死王には、一刻も早く地下迷宮の方へ向かってもらわねば。蒼天の諸君は、転移魔法が使えるギルド員を連れて直ちに竜の谷へ向かってくれ。」
「「了解」」
蒼天が出て行った部屋で、イザベラは一人葉巻を吸いながら考える。
今では机仕事ばかりだが、10年前までは冒険者ランクSSの剣王イザベラと王国では知れ渡る人であった。
私がギルドマスターでなければ、いや10年前のあの時違う選択をしていたら、いや辞めよう。
こんな私も今ではもう齢40。もう少し落ち着かんとな。
しかし、よもやあの魔剣を抜く事態になってはおるまいな?ノアよ。
***
蒼天はギルド員のクレアと共に竜の谷へ来ている。
「すみません足手まといになってしまって...」
移動するだけでもSS級と只の人間では、大きな差が生まれてしまうものだ。
ゾーイの背中に背負われながら、クレアは申し訳なさそうにする。
「いえ、これも依頼内容に含んでいるので気にしなくても大丈夫です。」
「しかし、妙ですわね。既に竜の谷の半分は来たかと思いますが、人っ子一人いえ竜っ子一体遭遇しないなん...?」
その時エリザベスは遠くで手を振る男と子供を発見する。
「おお!増援っすか?ギルドマスターも分かってるっすね!!」
カイ嬉しそうに手招きをしている。
5歳くらいの男の子のトイレを済ませている際に蒼天を発見したのだ。
「しかも、SS級冒険者パーティーの蒼天の皆さんじゃーないっすかー!最高の援軍っす!」
「すまない、君もギルドからの依頼でここに?」
ペネロペとカイは握手する。
「そうっす!あにき・・・ノアさんと一緒に来たっす!紅の皆さんは生きてるっす!村人も犠牲者は出たっすけど、殆どの人は洞窟で避難してるっす!」
「そうか、それは重畳!では不死王と紅は一緒に?」
カイは黒竜のことを思い出し青ざめた。
「い、いや、紅の皆さんはこの近くの洞窟っす。兄貴とレイナの姐さんは、ヤバい魔気の竜と戦ってるっす。」
「なに!?助けに行こうぜ!」
「そうですわ!少しでも戦力が多いに越したことはないですわ!」
ゾーイとエリザベスに詰められるカイ。
「この方向へ真っ直ぐ行くと居ると思うっす。でも、邪魔はしない方が...」
「よし、行こう」
***
「空を見ろ。なんて数の竜だよこれ・・・」
ゾーイが指差す方向には最古の竜を筆頭に、100体を超える竜と雷を操る女剣士が戦っている。
現在蒼天がたどり着いたのは、カイが転げ落ちた崖の上である。
「あれは剣神レイナか!」
「確かに、剣神の持つ刀は雷を操ると聞いたことがある。」
「すげぇな、翼竜がみるみるうちに減ってくぞ」
「あぁあぁああああ」
突如、歯を鳴らし震えだすグレースは膝から崩れ落ち、嘔吐した。
「オロロロッロロロ」
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