Episode20
目の前に広がる異様な光景は、常人が見ればトラウマになるであろう。
右を見ても竜。左を見ても竜。前には最古の竜
大半は下級の翼竜だが、30体程度は赤竜が混じっている。
赤竜はシュヴァルツに比べれば大したことは無いのだが、比べる相手が悪い。
翼竜が5体でかかっても赤竜は到底倒せないほどの強さではある。
「魔光」
シュヴァルツが周りを飛ぶ竜に向かって、無差別に魔光を撃ち始める。
運悪く当たってしまった翼竜は瞬時に塵と化す。
これは、思いのほか良い攻め方かもしれない。
流石、竜を狩る竜と言ったところか、空中での急な回避行動ができないと言う竜の弱点を上手く付いている。
これだけ魔光を乱射されたら迂闊には近づけないだろう。
加勢しよ。ノアは左翼に黒い斬撃を放つ。黒い斬撃は複数の竜を巻き込み消滅させた。
レイナは既に竜の群れ右翼中央でライトニングを数発撃ち一番多くの竜を葬っている。
ついに赤竜が動き出す。
30体ほどの赤竜が一斉にブレスを放ってきたのだ。
狙いはシュヴァルツだ。何発かは魔光で相殺しているが、処理しきれていない。
数十発のブレスがシュヴァルツを直撃した。
土煙の中心には竜騎士状態で、翼のみ竜化させて自身を包み込み防御しているシュヴァルツが居た。
ブレスの後の土煙が収まるころ、シュヴァルツは翼を使い空に跳ね上がる。
「鬱陶しい赤竜は先に殺しましょう。」
赤竜を雑魚と呼ぶに相応しい圧倒的な戦力を持って、シュヴァルツは殲滅を開始する。
1体は首を刎ねられ、また1体は口に手を突っ込まれ魔光を撃たれる。
そしてまた1体は殴り殺され、確実にかずを減らしていく赤竜
勿論赤竜と戦いながら周りの翼竜もついでに殺し回っている。
「おや、最古の竜。私の魔光が効いていない様ですね。」
ダメ元で数発魔光を放っては見たものの、当たった数発もダメージを与えられていない様だ。
「あ、シュヴァルツ。最古の竜には魔力は効かないんだ!」
「畏まりました。では、やり方を変えましょう。」
シュヴァルツは瞬時に最古の竜の目の前まで近づくと最古の竜の顔面を思い切り殴りつけた。
「貴様!」
間髪入れずに何度も殴る。
「やめ...」
抵抗も虚しく地面に叩き落とされ更に殴る。蹴る。
「...」
踵で顔面を何度も踏みつける。骨が折れるような音が響くが関係なく続ける。
首から上の原型が無くなるまで続いたシュヴァルツの猛攻撃が止まる。
「不愉快です。お前如きトカゲが自己再生だと!?」
原型が無く只の肉片と化していた最古の竜の顔面が少しずつ回復しているのだ。
「幾ら再生能力があってもこれならどうです?」
最古の竜の胸に右手を突き刺し、心臓を抉り取る。
「GYAAAAAAAAAA」
「肉片が喚くな。」
シュヴァルツは心臓を握りつぶした。
現竜王最古の竜消滅の瞬間であった。
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