Episode15
魔剣グラム、この剣は使用者の生命力を吸い取る呪われた武器である。
常人であれば手にした瞬間、死に至るだろう。
魔剣や妖刀と言われる類の物は多数発見されており、その中でも2種類に区分される。
魔力を糧として切れ味や、剣自体を強化する物は宝具と呼ばれ
生命力や精神力を糧として、剣とその使用者両方を飛躍的に強化する物は呪具と呼ばれている。
魔剣グラムは後者であり、その最上位クラスの一振りである。
魔剣グラムの使用時は自動回復が必須だ。
魔剣グラムを手にした状態であっても魔剣グラムへ供給される生命力に対して、自動回復で回復する生命力の量が圧倒的に勝っているため、生命力への支障は無い。
だが、自動回復は魔力を消費する。
その魔力を回復するために、先程使用した魔力変換が必要なのである。
魔力変換とは生命力が減ると、減った分の生命力がそのまま魔力へ返還されるというスキルである。
結果、魔剣グラムを持つと生命力が消費される。→消費された生命力は自動回復で回復される。→自動回復で回復するので魔力を消耗する。→だが、消耗した魔力は魔力変換によって、減った分の生命力がそのまま魔力として返還される。
以上の循環によりノアは、呪具を使いこなすことができるのである。
しかし、デメリットは存在する。
それは精神力である。
呪具によっては使用後に精神力を消耗する物もあり、魔剣グラムは生命力と共に気力をも消耗するのだ。
精神力を消耗しきってしまうと廃人となってしまう。言わば心と命の両方を消耗することでようやく呪具を扱えるのである。
粗末な呪具であれば弱いが、消耗も少ない。
魔剣グラムの様な最上位呪具になると消耗も極端に大きいのだ。
その結果として、初めて魔剣グラムを使用したその日以降に伸びたノアの髪からは色素が抜け銀色になってしまっている。
通常では考えられないような精神的苦痛が、使用している時間に応じて使用後に一気に襲ってくるのだ。
通常耐えられるようなものではない。
それをレイナは知っていた。知っていたからこそ自分が倒すことができれば、自分が守ることができればと先程まで戦っていたのだ。
でも、ノアは考える。自分が消耗する分には耐えられると。
自分の大事なものが守れなくて失ってしまうことへの恐ろしさは、考えただけでも耐え難い苦痛であり、絶対に許せないことだ。
故に普段から面倒くさがりで楽をしたがるノアでも、最後には全てを懸けて戦うのだろう。
「敗北を教えてやるよ。」
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次のお話も読んで頂けたら嬉しいです♪




