Episode14
「魔光」
耳触りの良いウィスパーボイスからは想像のできない威力の魔弾がレイナに直撃する。
いや...違う、これは魔弾なんて可愛らしい物ではない。
範囲が狭くなっただけの高密度魔力ブレスだ。
こんなもの至近距離で喰らえば、普通なら耐えられない。
いくら自動回復があってもまずい。
レイナの身体が宙を舞う。
寸前で刀を放して、後ろへ飛び致命傷を避けたのだろう。
地面に転がり、一瞬失っていた意識が戻るレイナ。
女は雷切を少し眺めた後、突然興味が失せたかのように放り投げる。
レイナの近くへ突き刺さる雷切。
「我に傷を付けたあの技を、今一度やってみよ」
女は自分の首の左をトントンと叩いて挑発する。
完全回復したレイナは立ち上がり刀の地面から抜き取り構える。
今日はもう既に何度も雷刃を使っている。
この技は発動すること事態はそう難しい訳ではない。
だが、その状態を維持することが難しいのだ。
一日に何度も使えば使うほど毎回の使用時間が短くなり、本日は既に2回使用している。
3回目となると、1分もつかどうか。
奴は今絶対的な力の差の前に油断をしているはずだ。
一撃で首を跳ね飛ばせればいけるかもしれない。
「雷刃」
刀ごと両手を前に構え、左手を刃に滑らせ更に魔力を抑え均一化していく。
刃が薄い桃色へ変化した。
レイナが地を蹴る!
女の首へ刀が吸い込まれるように当たり、そして止まる。
キイィィィィン!!!
レイナも本気なのだろう、力を込め過ぎた刀が少し震えているのが分かる。
「お主ではもう我を切れまい。」
刀を構えながらも後ずさりするレイナ雷刃も解けてしまう。
「もういいよレイナお疲れ様。僕がやるよ。」
「ごめん、ごめんねノア」
「巻き込まれるかもだし紅の方の援護に行けるかな?」
「了解・・・ごめんね。」
レイナは悲しそうに俯き洞窟の方へ去って行く。
ノアは自分に自動回復をかけ直す。
「さて、そこの美人なお姉さん、次は僕の相手をしてよ。」
「お主はあの者より魔気が弱いではないか。それとも何か隠し玉でもあるのかのう。」
「まぁそんなところなんだけど、えーっと君名前はある?」
「我はシュヴァルツ。冥途の土産にするとよい。」
「んじゃシュヴァルツ。僕が勝ったら僕の仲間になってよ。」
「なんと愚かな、人間風情が世迷言を。分をわきまえよ!!」
「おーこわ!おこじゃん。」
「我にその様な戯言を吐いたこと、あの世で後悔するがいい!」
ノアは右手を前に差し出し
「魔力変換
来い、魔剣グラム。」
ベギッベギベギッ!!!!
30センチ程の空間が軋み割れる。
その割れ目に手を入れ一気に魔剣は引き抜かれた。
禍々しい魔気を放ちながら、黒い刀身に脈打つ赤い紋様はより邪悪さを際立たせる。
周囲に纏う魔気は、使用者の生命力を吸い取り刀身から溢れ出しており、黒い炎のように揺らめいている。
「なんと!?魔剣と言ったか!?」
初めて人型になったシュヴァルツが動揺している。
そう、この魔剣グラムは使用者の生命力を喰らう言わば呪具なのだ。
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