Episode13
レイナは油断することなく黒竜へ視線を向けたまま、魔力ポーションを飲み干す。
雷刃も既に切れてしまっており、刀はいつもの雷切に戻っている。
だが、黒竜はもう虫の息。
止めを刺すのも容易なはずだ。
だがあの黒竜のことだ最後に何をしてくるか油断はできない。
幕を下ろすべく、レイナは一歩ずつ黒竜に向かって歩き出す。
すると黒竜の周囲に黒い霧状の靄が掛かる。
「まずい!」
レイナは飛びつく様に最後の一撃を与える。
「ライトニング!!」
雷撃が黒竜を飲み込む。
だが、遅かった。
黒竜は黒い繭のようなもので包まれ、レイナが何度攻撃しても効いていない。
打撃、斬撃、雷撃、様々な方法を試したが傷は付けど破壊ができない。
「レイナちょっと待って。何かヤバい感じだ。」
「うん。魔力が濃くなっている。」
「あんなに重症だったのに、こんなに魔力が残っていたのか。」
黒い繭にひびが入る。
ひびからは眩い光が放たれている。
その光の奥から手が出てくる。
繭を掴み、こじ開ける。
僕とレイナは咄嗟に飛び退き距離を取る。
先程の黒竜の魔気ですら常人なら失神してしまうレベルなのだが、今回のこれは比べ物にならないくらいヤバい。エグい。
レイナはいつでも抜けるように腰の刀に手を添えているが、カタカタと音を立てて震えているのが分かる。
額から汗が噴き出す。一気に体温が下がったかの様な感覚に襲われる。
全身鳥肌が立ち直ぐにでも逃げ出してしまいたい。そんな感情に見舞われる。
ついに繭の中から、銀髪のロングヘアで切れ長の深紅の瞳をした全裸の女が出てくる。
絶世の美女でスタイルも抜群なのだが、如何せん漏れ出す魔気が濃過ぎてビンビンとヤバさが伝わってくる。
今のうちに攻撃して少しでもダメージを与えたいが、迂闊に動ける様な相手じゃない。
女が繭に触れると、それは手から全身を伝って女の身体を行きわたる様に包み込みむ。
そして黒竜の鱗で作られたような鎧となって彼女に定着した。
レイナは僕にだけ聞こえるような小声で
「ノア、ごめん。この場はどうにか逃げて」
「なんで?」
「無理、勝てない。」
「二人でもか...!?」
「竜の状態でもノアが居なければ、瞬殺されていた。でも今のこの女は、あの時の竜より3倍はヤバい。」
「3倍は凄いな。」
「お願い、逃げて。時間稼ぐから。」
レイナは刀を抜き女に切りかかる。
!!!!!!!!!!!!!!!!!
「なっ!!??」
レイナが全力で振り下ろした刀は、女の左手の二本の指で掴まれてしまう。
「うごかな...い!?」
バケモノかっ!?
雷刃状態ではないが、本気で振り下ろした刀をたったの二本の指で止められた!?
女は空いてる右手をレイナにかざすと、高密度の魔力を放つ。
「魔光」
ブックマークといいね!★★★★★を押してくださるとめっちゃ喜びます^^*
次のお話も読んで頂けたら嬉しいです♪




