Episode155
ノアは庭のベンチに寝転がりながら、過去の思いでに浸り空を見上げる。
こんな姿ルナに見られたら「なんだ、我が恋しくて泣いておったのか?」なんて言われて馬鹿にされるに違いない。
でもそうやって馬鹿にした後には必ず「阿呆め、我は何処にも行かぬ。一緒に居るよ。」と僕の頭を撫でて抱きしめてくれただろう。
涙が溢れてくる。
あれから何年という月日が過ぎたが、目の前で、この手の中で愛する者が死んでいくあの光景を忘れた日は無い。
「ノア。」
レイナが上から覗き込んでくる。
「大丈夫?」
「あ、レイナ。心配かけたね。ちょっと感傷的になってただけだよ。」
ノアは涙を乱暴に拭い起き上がると、横にレイナが座る。
レイナは自分の太股をトントンと二回軽く叩いて「おいで」と言ってくる。
ノアはレイナの太股に頭を乗せ、膝枕をしてもらう。
「ノアの過去、少しだけだけど初めて知った。」
「そうだっけ?」
「うん。いつも話さないから。」
「そっか。」
レイナはノアの頭を撫でる。
お互い何も話さない。
沈黙が続く...
だが、昔からレイナとはそういう関係だった。
沈黙が嫌ではなく、そう、心地良いのだ。
ノアの近くにはいつもレイナが居り、何も言わず只々寄り添っていてくれる。
「ありがとう。」
「うん? 何もしてないけど。」
「傍に居てくれてるじゃん。」
「うん。」
もにゅもにゅ...
「大きくなったもんだ~。」
レイナの胸を揉みしだくノア。
いつものことなので、嫌がる素振りは見せないレイナ。
「こらー! セクハラですよマスター!」
膝枕から起き上がり、後ろを振り向くとアリアがこちらへと歩いて来ている。
「探したわノア。」
「ここに居たのですね。」
その後ろには、シュヴァルツとクロエも居る。
「どうしたのみんな揃って。」
「みんなノアを心配してたよ。」
レイナの言葉でふと我に返るノア。
あの時はひとりぼっちだった。独りになったのだ。
でも、今ではこんなに自分を思ってくれる仲間ができた。
「もう大丈夫だよ。ありがとね。」
ノアは立ち上がるとピースをしながら元気な様子をアピールする。
「さぁノア、一緒にお風呂入るわよぉ。」
「いや、いいよ。僕シャワーだけでいい。」
「今日は私が洗ってあげます。」
「え、シュヴァルツ、なんでそんなにやる気なの...」
「マスターとお風呂、マスターと...ハァハァ...」
「アリアきもい。」
わいわいと風呂へ向かうノアたちを見て居た二人は苦笑する。
「我々のことは、すっかりと忘れられておるな。」
「いいじゃないか父上。ノアもやっと打ち解けられる仲間が出来たんだ。」
「そうじゃな...お前も行きたいんじゃろ。サキよ。」
今まで誰も居なかったその場に、音もなく現れるアサシン。
全身黒の衣装で、王に跪く少女。
昔、ルナとノアが気まぐれに拾い、里に送ったダークエルフである。
「サキ、近々里から新人が来るらしい。その者と上手く引き継ぎをこなした後であれば、お前に暇を出そう。」
!?
目を見開くサキ。
「クビ...ですか?」
「あぁ、だからノアの所でも気になっている人の所でも、何処でも行くがいいさ。」
王子が言っている言葉の意味を理解したサキは、涙ぐむ。
「ははっ、恐悦至極。」
「さぁ、ノアのハーレムはどこまで大きくなるのかな?」
そう言うと、国王と王子は声を出して笑うのだった。
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