Episode152
ミカエルがノアたちの元へと辿り着くと、そこに広がる光景に絶句する。
空中で大鎧のニーズヘッグを後ろから羽交い締めにするサタン。
そのサタンごとニーズヘッグを、ノアが魔剣グラムで貫いているではないか。
ミカエルの姿に気が付いたノアは声を荒げる。
「早く封印魔法を掛けろ! 何やってる、急げミカ!」
はっとした顔で、我に返るミカエル。
「どこに封印するのですか!!」
元々予定していた魔王ルージュ・メテオノールの中への封印は、ルージュが消失したことにより継続不可能となった。
そしてここに居る三人の中には既にそれぞれ邪竜ニーズヘッグを分割して宿しており、今の状態では封印する器が無いのだ。
「僕にもう一度やれ!」
「そんなことしたら...」
「いいから早く!!」
「もう、どうなっても知りませんからね!」
そう言うと封印魔法を掛け始めるミカエルだったが、次の瞬間ニーズヘッグは前方で自分の腹部を魔剣グラムで突き刺すノアを蹴り飛ばした。
「ぐはっ。」
ニーズヘッグは頭を前に倒すと、勢い良く後ろで羽交い絞めをしているサタンの顔面へとぶつける。
「がっ。」
一瞬サタンの拘束する力が緩み、それを振り解く。
ニーズヘッグは自分の腹部に刺さる魔剣グラムを抜き、サタンへと突き刺す。
「ぐあああああぁ!!!」
落下していくサタンに追い打ちを掛けるニーズヘッグ。
空中でサタンの後頭部を掴むとそのまま地面へ落下する。
サタンは落下の衝撃を顔面から受け、動かなくなる。
ゆらりと立ち上がったニーズヘッグは、ミカエルの方を向き姿を消した。
「ヒィッ!!」
ミカエルの真後ろへと瞬時に移動したニーズヘッグは、ミカエルの髪を掴み顔面へ何度も何度も膝蹴りを喰らわせる。
最初は抵抗していたミカエルも、次第に抵抗する力が弱まっていく。
両手の力が抜け、だらんと重力に逆らわずぶら下がる。
既に、ミカエルかどうかも判断が付かないくらいにまで原型を留めていない顔面からは、ボトボトと流血している。
ニーズヘッグは満足したのか、それとも只々興味が失せたのかは不明だがミカエルの髪から手を放し地面へと落下させた。
次のターゲットとなったのはノアだったが、ニーズヘッグはノアの姿を探すも発見できないようだ。
ノア以外にも、重症を与えたはずのサタンや、今の今まで瀕死の攻撃を与えていたミカエルすらも姿が見えないのだ。
全方位を見渡し探すも、三人の姿が発見出来ないニーズヘッグは、苛立ちの余り周囲に魔力弾をまき散らし無差別攻撃をしだしたのだった。
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