Episode150
押しているように見えるノアであったが、これ以上は少し難しいと実感していた。
ニーズヘッグの動きが明らかに良くなってきているのだ。
ノアと戦いながら、癖や特徴を覚え攻略して来ている。
驚異的なスピードで成長する敵を前に、ノアも少しずつ攻め方を変えている。
そのお陰で何とか今までもっているようなものなのだ。
黒い斬撃を避け始め、魔剣グラムによる攻撃も上手く往なしだした。
そこに助太刀が到着する。
「やぁ、僕も混ぜて貰うよ! さっきのお返しだ~!」
そう言って、ファイヤーボールを連射しながらニーズヘッグへと距離を詰めるルージュ。
小さな拳から放たれる強烈なアッパーが、ニーズヘッグの顎へクリティカルヒットする。
遥か上空へ舞い上がるニーズヘッグだが、上空で待ち受けるのはサタンだ。
「こっちもさっきのお返しだ、ゴラァ!!」
飛んで来るニーズヘッグのボディーに、サタンは強烈な かかと落としを喰らわせる。
ニーズヘッグの身体はくの字を描きながら、地面へ向かって真っ逆さまに落ちていく。
受け身をとることも無く、地面へと激突するニーズヘッグ。
大地はひび割れ、大きな砂ぼこりが立ち込める。
そこに向かってノアは黒い斬撃を複数飛ばす。
黒い斬撃をがニーズヘッグに直撃したのだろう。
更に大量の砂ぼこりが立ち込め、視界が極端に悪くなる。
そこに更に追い打ちを掛けるべく、ルージュはノアの攻撃中に用意していた魔法を放つ。
「ギガ・メテオ! ギガ・メテオ!! ギガ・メテオ!!!」
数え切れない量のメテオがニーズヘッグへと降り注ぐ。
正直この光景は地獄絵図そのものである。
元々の地形など想像もできないくらいに、地形が変形してしまっているのだ。
そこには水が抜かれた湖のようなとても大きなクレーターが出来上がっていた。
「ハァハァ...どうだ、流石にこれはキツイだr...グハッ!?」
ルージュは血反吐を吐き、恐る恐る自分の胸へ視線を落とす。
そこには、自分の心臓を持っているニーズヘッグの腕が、ルージュの胸から生えていたのだ。
ニーズヘッグはルージュの背後へと回り込み、背面よりルージュの心臓を抉り、そのまま胸へと拳を貫通させたのだ。
そしてその心臓をルージュに見せながら握りつぶすと、勢い良く腕を抜き去った。
空中より落下するルージュを地面すれすれで受け止めたのはミカエルだった。
「まずい、二人共時間を稼いでください。」
「おうよ。」
「あぁ。」
ミカエルは少し離れた所へルージュを降ろすと回復魔法を掛けるのだった。
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