Episode147
「それじゃあ一番は貰うよ~。」
ゆっくりとこちらへ近付きつつある邪竜ニーズヘッグに対して、ルージュは巨大な炎の塊を上空に展開する。
「こりゃヤバい。」
「こちらへ。セイクリッド・プロテクション」
それを見たサタンとミカエルはノアの近くへ瞬時に移動すると、ミカエルは天使特有の神聖魔法である最上級の『聖なる守り』を発動する。
三人が居る場所にドーム状のバリアが展開され、外部からの攻撃を無効化すると言った反則級の魔法である。
それを横目で確認したルージュは、目標に向かってその巨大な炎の塊を放つ。
「ギガ・メテオ!!!」
しかもそれは合計5発放たれ、こちらにまで余波で熱風が吹き荒れる。
「よっと。」
あれだけの物を放った後なので、ルージュ満足気にバリアの中へ入って来る。
その直後、メテオが目標である邪竜ニーズヘッグの分身体に直撃すると、辺りには轟音と灼熱の爆風が発生する。
大量の岩や石ころなどが、爆風で飛ばされ凶悪な速度でバリアに飛んできては砕け散っているのが見える。
爆心地からおよそ一キロは離れているのだが、すぐ目の前の土地一帯が熱せられたガラス状となっており灰燼に帰した。
爆炎が上がり、邪竜ニーズヘッグの姿は確認出来ない。
「おいおい、最初から本気だなぁ。やるじゃねーか。」
「ん~どうだろうね。これくらいじゃ倒せないとは思うけど、重症とか負っててくれるとありがたいよね。」
次の瞬間、目の前に邪竜ニーズヘッグが現れる。
「きゃっ!!」
ガンガンを音を立てて、ミカエルの張ったバリアを殴りつけている。
「あれ~ミカエル、今可愛らしい声出さなかった~?聞こえたよねサタン?」
「あぁ、聞こえたなぁ確かに聞こえたなぁ。ガッハッハ!!」
「ちょっと、後からならいくらでもからかって良いですから、これを何とかしてください!!」
ミシミシと音を立ててヒビが入っていくバリア。
「は・や・く!!」
本当に怖いのだろう。
こちらへと振り返ったミカエルは涙目となっており、今にも泣きだしそうだ。
「か、かわいい...」
ルージュはそう言いつつも、口を抑えて笑いを堪えている。
「しかし煩いなこいつ。」
短気なサタンは、バリアの外に出ると邪竜ニーズヘッグに殴りかかる。
「いやいや、あのメテオ喰らってピンピンしてる奴に無手って...」
さすがのルージュもこれにはドン引きしているらしい。
「ルージュちゃん? 引いてないで貴女も戦うのですよ?」
先ほど笑われた恨みもあるのか、ルージュはミカエルにヒョイと捕まれバリアの外へと投げ出される。
「酷いよ~。ミカエル~。」
渋々戦い始めるルージュ。
それでも、ピンク色の魔石を見ながら握りしめているノアが視界に入ると、ミカエルは心が酷く痛むのだった。
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