Episode145
ノアの鳴き声で目を覚ましたルカは、ルナが死んだことを悟り笑みをこぼす。
「あらあら、お姉さまは呪いに堪えられなくて死んだのかしら?」
「...」
ノアはルカを無言で睨みつける。
「そんな目をしたところで無駄ですよ。さて、お姉さまが大事にしていた非常食の味見をさせて貰おうかしら。」
ルカがノアに近付き触れようとするその刹那、何者かがルカに攻撃しルカを吹き飛ばす。
ノアが見上げるとそこには全く知らない顔が居た。
「やぁ、キミがノアかい?」
赤髪が綺麗な少女は返事をまっているが、ノアは話さない。
「ふむ。相当病んでいるようだね。」
「貴様ぁぁぁ!!!」
ブチ切れたルカがロングソードを生成し、目の前の少女へと斬りかかる。
「うっるさいなー君は―――。」
赤い少女はルカへ手を向けてナニカを呟くと、渦巻く炎がまるで竜の如くルカへと解き放たれた。
その炎の竜をルカはロングソードで切りつけるが、効果も無く炎の竜に飲み込まれる。
黒焦げになりながらも、ゆっくりと起き上がるルカを見て、赤い少女を口笛を吹く。
「タフだねぇ~。本当ならうちに欲しいくらいだけど、キミは要らないや。」
もう一度ルカへと手を向けると、ゴォォォオオンといった鐘の音が一体に響き渡る。
「お、来た来た。」
これにはノアも目を見開く。
天から一筋の光が降りて来る。
そこには純白の羽を背から生やした金の髪をなびかせた大天使が舞い降りる。
更に突如何もない空間がミキミキと音を立てて割れだし、向こう側の空間からは黒い角に黒い羽根を背中に生やした悪魔王が降臨する。
「久しいなノア。」
そうノアに声を掛けるのは、悪魔王サタン 昔の名を堕天使ルシファーと言う。
「お久しぶりです。ノア君。」
次にノアの近くへ寄って来ると、ノアの肩へ触れ少しばかりの安らぎの加護を与えたのは大天使ミカエルだ。
「お二方が来る前に、あの子襲って来たからちょっと燃やしちゃった。」
そう言ってニコっと笑う赤い少女。
「はぁ、これだから魔王は。その喧嘩っ早いのは何とかならんのか?」
「まぁまぁ、そう言わず。ルージュさんも最善の事をしたまでですよね。」
「そうそう~。僕は悪くないよ~。」
このノリの軽い赤い少女は、現・魔王ルージュ・メテオノールである。
少し精神的に楽になったノアは、ルナの形見の魔石を握りしめて立ち上がる。
「ミカにサタン、そして魔王が揃って居るってことは、邪竜の再封印に来たってことだよね。」
「あぁ、そうだ。」
「ノア君は休んでてください。ササっと終わらせてしまいますから。」
「キミみたいに僕の中へ再封印するって話なのさ。」
ルージュは自分の胸に手を当てて、ドヤ顔をしている。
「あのエンシェントドラゴンは今はもう耄碌して使い物にならなくなったみたいだしね。」
過去に一緒に邪竜と戦った竜王の事を言っているのだろう。
そうか、今回のこの騒動も大元は竜王の所から、ルカが封印された邪竜ニーズヘッグの一部を持ち出したところから始まっているのだ。
取り敢えず今度竜王は殺そう。
そう心に誓ったノアであった。
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