Episode139
一瞬で間合いを詰めて来るルカは、両手で持ったロングソードを軽々と振り回しルナに迫る。
ルナは後ろに回避しながら、大鎌で上手くルカのロングソードをいなしているように見える。
だが、実際はそうではない。
ルナには余裕は無く、既に本気である。
邪竜を取り込んだルカの動きが早すぎるのだ。
しかも攻撃も一撃一撃がかなり重く、身体への負担が積もっていっている。
堪え兼ねたルナは、飴玉サイズの血液の玉を複数発射し牽制する。
数発は避け、数発はロングソードで切り対処される。
「子供騙しですね。」
「ッチ...厄介な。」
苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべ、休む間無く切り込み続けるルカのロングソードを大鎌で受け続ける。
「まずいな。僕が何か出来れば...」
此処まで追い込まれたルナを見たことが無いノアは、自分が何も出来ないこの現状に苛立ちを覚えていた。
ルナと出会ってからずっとルナに助けられてばかりの日々だった。
今ここでルナを助けないと、きっとルナが勝利したとしても後悔するだろう。
いや、出来ることはある。
それをやろうとしなかっただけで。
ノアは、賭けに出る。
「来い、グラム。」
昔に倒した敵の戦利品として頂戴した魔剣が出現する。
魔剣グラム、この剣は使用者の生命力を吸い取る呪われた武器である。
常人であれば手にした瞬間、死に至るだろう。
魔剣や妖刀と言われる類の物は多数発見されており、その中でも2種類に区分される。
魔力を糧として切れ味や、剣自体を強化する物は宝具と呼ばれ
生命力や精神力を糧として、剣とその使用者両方を飛躍的に強化する物は呪具と呼ばれている。
魔剣グラムは後者であり、その最上位クラスの一振りなのだ。
昔倒した敵が所有していた物なのだが、ノアは一瞬触れた瞬間にこれは人族では到底扱えない代物なのだと理解した。
触れているだけで、夥しい量の生命力を吸われるのだ。
だが、ノアはこのような日のために色々とシュミレーションをして来た。
触れると生命力を吸われ、ものの数秒で死に至る。
しかし、ノアはオートヒールが使える。
オートヒールが発動した状態ではどうか?
魔剣グラムが吸収する生命力に勝る量で、生命力が回復しているのが分かる。
この時点で、オートヒールが続く限り魔剣グラムを装備できるのだ。
ただ、オートヒールも常に発動していては、今度は魔力がすぐに切れてしまう。
魔力ポーションを飲み続けると言う手もあるが、それも限界があるだろう。
そこで思いついたのは魔力変換である。
魔力変換とは生命力が減ると、減った分の生命力がそのまま魔力へ返還されるというスキルである。
一般的にメイジが自分に掛けることが多く、奥の手としても使用される物だ。
これ等を上手く組み合わせると、魔剣グラムを装備し生命力が消費される。→消費された生命力は自動回復で回復される。→自動回復で魔力を消耗する。→消耗した魔力は魔力変換によって、減った分の生命力がそのまま魔力として返還される。といった永久機関が完成するのだ。
以上の循環によりノアは、魔剣グラムを使いこなすことができるのではないかと考えたのだ。
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