Episode138
「全く、面倒だ。」
「そうだね、でも逃げ出す訳にもいかないしね。」
「彼奴等は、もう少し待たねば脱げきれまいしのう。」
「少し戦って、時間を稼いだら頃合いを見計らって僕たちも逃げるかい?」
「それでも良いが、世界が滅ぶぞ?」
「ふはは。そうだね。僕はルナと二人でのんびりと過ごせたら、それで良かったんだけどね。」
少し切ない顔でノアは本音を漏らす。
「そうだな、これを切り抜けたらそれもありだな。」
ノアよ、お主はそのように思ってくれていたのだな...それが聞けただけでも満足だ。
ルナはノアに向かって、微笑む。
「しかし、邪神...いや、邪竜ニーズヘッグか...」
「うむ。4つに分けられしニーズヘッグの一部と、何かが融合しておるな。」
二人はソレを見ながら話していると、二人の目の前にいきなりソレが現れる。
「なっ!?」
「早すぎるっ。」
!?
「お姉...さま...?」
「なんだと...!?」
二人の目の前に瞬く間に現れたのはなんと、昔死んだはずのルナの妹のルカだったのだ。
「お主、本当にルカなのか...?」
「お姉さまなの...?」
「お主は死んだはずだ。」
「そう、私は死んだはずだった。でも凄いのよお姉さま。原初の吸血鬼ってね、そう簡単には死ねないみたいなの。あれから何年も経った後、私は不意に目を覚ましたわ。きっと盗賊か誰かが、私の胸に刺さっていた銀の短剣を抜いたのね。それから私は血を求め彷徨うこととなったのよ。あの日、初めて人族の血を吸ったわ。あぁ、なんて素晴らしいの。なんて美味なの。お姉さまが夢中になるのも分かるわ。あら、その非常食私にもいただけるかしら?」
そう言ってルカはノアに近づく。
「残念だがそれは我の物だ。触れるな愚妹よ。」
「あら、少しくらい分けてくれてもいいじゃない? お姉さまが連れているくらいなんだから、凄く美味しい子なんでしょう? それとも...あ、もしかして...少しずつ吸って、飼い殺しにしているのね! さすがお姉さまがやることがえげつないですね。」
「与太話はもう良い。ルカ、お主何故邪竜を取り込んだ? そんな物無くても真祖は強い、強すぎるだろ?」
「それはね、お姉さま。分かるでしょう? お姉さまを探し出して殺して差し上げる為よ。」
ルカはルナへ飛び掛かると、首に噛み付こうとするがギリギリの所で振り払われる。
「本気なのだな?」
「ええ、勿論よ。」
ルナは覚悟を決めたかのように、自らの血液で大鎌を生成する。
「運がいいですわ。こんなにも早くお姉さまと再会できるなんて。」
ルカも自らの血液でロングソードを生成し構える。
これが吸血姫と、邪竜を宿した吸血鬼の真祖が相まみえる瞬間であった。
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