Episode136
翌朝、まだ夜明け前の暗いうちにノアとルナは馬に跨り、目的の場所へと向かう。
現場へと到着すると、見知った顔が出迎えてくれる。
「やあ、来てくれたか。」
「助かる。」
カイン王子と護衛騎士のレオである。
「おはよう。日が昇ったら攻撃開始かな?」
「こんなに大勢で取り囲んでは、中の者には既にばれておるぞ。」
ルナはそう言うと、呆れたと言わんばかりに腕を組む。
「そうかも知れないね。でも一体も逃さないようにするには、こうやって周囲を囲んでしまうのが一番かと思ってね。」
「ふむ。真祖とそれに変化させられた二世代は太陽光に耐性がある。だが逆に言えばそれ以下の世代は全て太陽光を浴びれば、忽ち燃え尽き灰へと変わるだろう。本来であれば朝日が昇り、日が落ちるまでが勝負だ。」
「うんうん?」
「本来であれば、な。」
「と言うと?」
「これだけ騒がしくしておれば、どんなに鈍感な奴でも五感が数倍に進化した吸血鬼であれば必ず気付くはずだ。だが、何故出てこない?今のうちに四散すれば逃げられる者も多かろうて...」
ルナは考え込む。
「何かを待っている? 今外に出ることが出来ない理由がある? そう言う罠か?」
「そうか、彼方にも何か事情があり時間を稼ぐ必要があると言うことか。」
「そうやも知れぬし、違うやもしれぬな。」
「ではどうする? 今突撃をかけるか?」
「それも、逆に誘われている気もせんでもないのう。中にはたっぷりの罠が待ち構えておるやもな。」
「うーん。」
「まぁ、どっちにしろ日が昇ればこちら側が有利になるのは明白だ。」
ルナは楽観的な発言をするのだが、その後に付け加えてカインとレオが青ざめる事を言う。
「敵に真祖が居ないことを祈っておれ。もし居れば、こんな軍なぞ小一時間で全滅するわ。」
今回、吸血鬼殲滅戦と称して集められた兵士の数はおよそ一万。
「この一万の兵が、一時間で全滅...するだと...」
「あながち間違っちゃいないと思うよ。カインたちとパーティーを組んでいた時なんてルナは本来の10%ほどの力しか出し切っていないのだしね。」
顔が引き攣っているカインに、苦笑いしながら同情するノア。
「あ、あれで10%だと!?」
カインの横で衝撃を受け、絶句するレオ。
それもそうだろう、二人は盗賊や山賊相手に無双するルナの姿が焼き付いているのだ。
それであれが10%しか出していませんでしたとカミングアウトされても、想像すら付かないだろう。
吸血鬼とはそういう者なのだ。
魔族とはそうなのだ。
人族などが計り知れないような存在であり、しかもルナはその吸血鬼の真祖。
原点にして頂点、吸血鬼の完全体であり最強の存在なのだ。
カインたちとはその後も少し話した後、ノアとルナは与えられたテントで日の出まで休むこととなった。
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