Episode10
少し距離を取っていた黒竜が仕掛ける。
前方に向かって口を開け、そこに球状の高密度な魔力を集めている。
「ブレスだ!!」
レイナに警告して、僕自身もブレスの軌道から逸れる。
黒竜がレイナ目掛け高密度魔力ブレスを放つ。
ブゥォォオン...ビキュオオオオオンンン!!!!!
キーーーーーーン
大地が揺れる程の威力、耳鳴りが酷い。
砂埃でも入ったのだろう、口の中がジャリジャリする。
!!??
なんだこれは?
先程まで立っていた地面は抉れ、超高温で熱せられたのか、ガラス状になっている。
その抉れは幅3メートル程で、木々や村の家屋をも消滅させてしまっている。
レイナ!レイナは無事なのか?辺りを見渡すが、姿が見えない。
「ノア!無事なの?ノアァ!!」
ブレスが放たれて抉れた地面の反対側から、レイナの声が聞こえる。
どうやら、土煙が濃いせいでお互いに姿が見えていないようだ。
「ああ!大丈夫だ!今なら口の中から土属性の魔法が撃てそうだよ。」
僕の声を頼りに、レイナは抉れを飛び越えてこちらにやって来る。
「よかった。」
優しくハグをされる。
なんでこんなに運動したのに良い匂いがするんだろう。
「レイナ上手くブレス躱せた?」
「ううん。左手ダメだった。でもありがとう。すぐ治ったから大丈夫。」
「どうする?逃げる?」
「もう少し、、、やる」
そうか、やはりあのブレスはレイナでも避けれなかったか。
いや、避けられただけでも良しとしよう。
正直あれが直撃してたら、生身の身体なんてすぐにでも消失するだろう。
魔気で強化していても、耐えられるかどうか...
いくら自動回復を使用していても、再生する間が無く身体全体を消失させられたら一巻の終わりだ。
正直自動回復は部位欠損程度には有効。ぐらいに思っておいた方が良いだろう。
まぁ、本来部位欠損が瞬時に、しかも自動で治るなんて普通はぶっ壊れスキルなのだが。
しかし、なんだあの竜は。
あんなぶっ飛んだ強さの黒竜は見たことも聞いたことも無いし、
こんなの完全に難易度SS級なんてレベルじゃない。
いや、もしかしたら難易度SSS級に匹敵するだろう。
現在発見されている竜種の中で最も強い存在は、現、竜王である最古の竜だ。
僕は昔、最古の竜に会った事がある。
その時は別件で少し協力してもらうなど、話の通じる良い竜に思えた。
だが、なんだこの有様は。
世界最強種族と謳われる竜種は力こそ全て。
強き者が弱きものを支配する種族。
そんな種族を統一して、その頂上に君臨しているはずの竜王最古の竜は何をやっているんだ。
君をも凌ぐ強さの黒竜が今、僕を攻撃してますけど...?
竜王よ監督不行き届きだ馬鹿野郎!
なんて今言っても仕方が無いが、どうするのこの状況。
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