Episode122
「ちょっと待って、そのルナって吸血姫はどうなったの?」
「そうねぇ、そこは気になるところね。」
「確かに、そこまで主の血液に執着していたのですから、飽きたと言って離れることも考え難いかと。」
話も終盤かと思われた時、レイナ・クロエ・シュヴァルツの三人がルナの話題に食いついたのだ。
アリアとエリザベスを含めた黒天は黙ってノアを凝視する。
「...」
その時のノアの表情を、その場の者は生涯忘れないだろう。
「少し風に当たって来るよ。」
ノアはそう言うと、席を立ち部屋を退出した。
今まで一度と見せたことない涙を流しながら―――。
***
「全く、面倒だ。」
「そうだね、でも逃げ出す訳にもいかないしね。」
二人が対面している敵は、邪竜ニーズヘッグだ。
今までで、ノアを一番手こずらせた相手となった封印されし悪しき竜である。
ルナと共に今この死地で僕は...何でこうなったんだっけな...
そうだ。
全てはあの後、帝国へ向かったところから始まったのだ。
***
国王に治癒魔法をかけた後二人は、その足で王国を出た。
二人乗りで一頭の馬を走らせ、向かうは帝国。
帝国に多く潜伏している、邪神教徒が封印されし邪竜ニーズヘッグの復活を目論んでいるらしい。
その情報を入手した冒険者ギルドのギルド長直々にノアへと依頼してきたのだ。
「あの爺、こき使いやがって。こんなヤバい依頼受けたく無かったんだよ。」
「でもこんな大事他の者に任せては、おちおち眠れぬだろ?」
「...まぁね。」
二人は一定の距離進むと、夜が更ける前に火を焚き野営の準備を始めた。
「のう、ノア。」
「何さ。」
焚火に向って並んで座っていると、ルナが話しかけてくる。
「我も、普通の人間だったら良かったのにと最近思うのだ。」
「何で?」
「ノアの子供が埋めるだろ?」
そう言って、焚火を見つめる彼女の横顔を見ていたノアは不意を突かれたからだろうか、はたまたこの雰囲気がそうさせたのか、不覚にも可愛いと思ってしまったのであった。
珍しく赤面するノアだったが、月明りと焚火の加減で上手く目立っていないようだ。
「別に子供が出来なくても、ずっと傍に居たら良いじゃん。僕の血、好きなんだろ?」
「そうだな...ずっと傍に居るよ。」
ルナはそう言って、ノアの肩にもたれ掛かるように頭を傾けた。
ここ数年は毎日血を与え、毎晩こうやって一緒に過ごしている。
ルナも最初にあった頃とはすっかり態度も変わり、今ではこんなにもしおらしくなったものだ。
そう思っていると、ルナに押し倒される。
「びっくりした。どうしたの?」
「なんか、ムラムラしてな。」
前言撤回。
しおらしくなんてなってないみたいだ。
いつも通りノアに覆い被さり、自分の欲を満たす吸血姫。
ノアは夜空に瞬く綺麗な星たちを見ながら、思うのだった。
求められるのも、悪くないな。―――と。
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