Episode121
翌日、ノアとルナは朝目覚めると冒険者ギルドへと出向く。
「おいあれ見ろよ。」「不死王じゃねぇか。」「横には吸血姫も居るぞ。」「ノブレス・オブリージュは解散したんじゃないのか?」「馬鹿野郎あの二人はそれよりずっと前から組んでるんだよ。」「そうなのか?にしてもガキにしか見えねーな」「やめろ馬鹿!殺されるぞ。」「養いたい。」
各所からコソコソと話す声が聞こえる中、二人は受付へと足を運ぶ。
「あら、今日はミアさんは一緒じゃないのですね?」
「あぁ、故郷へ帰ったよ。」
受付嬢もただならぬ気配を察知して、早々と会話を切り上げる。
「そうなんですね。本日のご用件はいかがいたしましょうか。」
「僕も少し依頼を受けられなくなるから、暫くの間は指名依頼を無効として欲しいんだ。」
「承知いたしました。期間はどれくらいでしょうか?」
「未定だよ。戻ったらまた顔を出すね。」
「はい、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
受付嬢は綺麗なお辞儀をして二人を送り出した。
次は王城へと向かった。
「ノアにルナ。朝から悪いね。」
「良い。」
ノアを使われているようで、ルナは少し機嫌が悪いようだった。
「やぁカイン。国王の調子はどうだい?」
「あぁ、それがあまり良くなくてな。」
国王が眠る寝室へとカインに案内される二人。
「...ゴホッゴホッ。」
「父さん!!」
眠りながらも咳き込む国王へ駆け寄り、侍女と共に横向きへ寝返りをうたせるカイン。
侍女は数人体制で24時間介抱されているようだった。
事前に専属医から聞いた話では、恐らく肺炎だろうとのことだ。
「アルティメット・ヒール」
金色の魔法陣が術者を中心に広がり光を放つ。
魔法陣から金色の粒子が渦を巻き天高く昇る。
国王を対象として究極治癒魔法が発動する。
外見では何の変化も無いが、体内は治癒しているはずだ。
「これで良いよ。」
「ありがとう。ノア、この恩は」
王子であるカインの言葉を遮ると、背を向けて歩き出してしまうノア。
「そういうの要らないから、医者で無理だったものは言って来たら良いよ。」
「ありがとう。本当にありがとう...」
王子という身分でありながら、しっかりと頭を下げて礼を言うカインを見て、侍女たちは青ざめた顔をしていたがそんなことはなんのその、涼しい顔で王城を後にする二人だった。
***
「その後も先祖代々と、病だったり怪我だったり医者では手に負えないものを治してもらっているという仲なんだ。」
「ふぁ~。まぁヒール唱えるだけだしね。」
ノアは興味なさげな様子で欠伸をしている。
「それでもだよ。キミは命の恩人でもあり、英雄なんだ。他にも助けられた貴族は多いと思うよ。」
「年に一度範囲回復魔法で国全体を治癒してもらっているしな。」
ルーク王子の意見にグラシス国王も加わり、ノアが行ってきたことの説明は終わった。
「そうなのですね。なるほど、理解出来ました。流石、ノア様ですわ!」
エリザベスはよりノアに心酔してしまっているようで、ノアに憧れ...いや、信仰のような眼差しを向けている。
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―エリザベス・フォン・ベンブルック―
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