Episode119
想像もしていなかったことが目の前で起き、目を丸くするルナだったが、すぐに我に返ると魔気を纏い視線も鋭く変化する。
「お主...何者だ?」
「何者って、人だけど。人の血を勝手に吸っておいてお礼も無しなの?」
当たり前の事を聞かれ、むくれるノア。
「嘘を付け。人族は一定量の血液が無くなると、すぐに死んでしまうことくらい我でも知っておる。」
「そうだね、確かに。じゃあ見ててね。」
ノアの行動を警戒したルナは、瞬時に戦闘態勢へと移行する。
だがそんなことお構いなしでノアは懐からナイフを取り出すと、自分の手のひらを撫でるように切りつけた。
スーッと赤い筋が付くが、ナイフの刃が通った時に出来た傷はその直後に塞がっていく。
!?
「お主...吸血鬼と同じ自己再生能力を持っているというのか?」
「ん~自己再生ではないかな。種明かしをすると、治癒魔法を常に発動してるだけなんだ。」
「ほう。面白いな。」
ルナは目を細めて笑みを浮かべると、次の瞬間自分の爪で手のひらを傷つけた。
そこから出た血液を大鎌へと変化させると、それを見えないような速度で振り下ろしノアの腕を切り飛ばした。
「もう、服が台無しじゃないかー。」
切り飛ばしたはずの腕は、ルナの大鎌が通過した直後後に吹き飛ぶ隙も与えず治癒したので、服の袖のみが切断され、はらりとずり下がる。
大鎌は手のひらの傷からルナの体内へと吸収され消失する。
「ふむ。ここまでの治癒能力は初めて見るのう。だが、これはどうだ?」
そう言うと瞬く間にルナはノアの胸を右手で貫き、心臓を抉り取った。
「ぐはっ。」
流石にノアであっても吐血し、咳き込む。
無理もないだろう、胸に穴を開けられ心臓を抜き取られたのだ。
今までのノアの中で動いていた心臓は、体外へ取り出しても未だに動き続けている。
それをルナは自分の目線の高さまで上げるとノアに見せつけるかの如く、搾ると滴る血液を飲み干した。
「あぁ...実に美味だ。これを飲んでしまうと、もう他の血液では満足出来ぬほどに...」
そう言って高揚したルナは、搾りきった心臓を用済みかのように地面へ投げ捨てた。
!?
「なん...と。」
ノアの胸の傷は既に塞がっており、更に何の問題も無いかと言わんばかりに、吐血した際に汚れた口周りを綺麗に拭き取りニコっっと笑って見せたのだ。
「僕治癒に特化してるんだけど、攻撃魔法は全く使えないんだよね。だから強い仲間が欲しかったんだ。そこに吸血鬼が街で夜な夜な人を狩っていると言う情報を聞きつけて探しに来ていたんだ。しかもキミの、その力...僕が知っている吸血鬼のそれからは逸脱しているね。そうなると始祖...いや、真祖かな?」
「...」
「大当たりだ。」
探していた中でも特上の当たりを引いたと言わんばかりに、ノアは喜んでいるようだ。
これが、ノアと吸血鬼の真祖ルナとの運命出会いとなった。
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