Episode116
食事が終わりそれぞれ現地で解散という流れとなり、カインとレオは王城へと戻っていった。
カインが最後だからと、酒場を出てすぐにミアを呼び出して遠くで何か話していたようだったが、ノアには何のことか分からなかった。
「彼奴め、最後の最後に思い切ったのう...」
「ん? なに?」
「ノアにはずっと我が付いとるからな。」
「何の話だよ?」
「いや、何でもない。」
「ふーん。」
ミアはネックレスを触りながら軽く首を左右に振り、少しカインと話した後一人で宿屋の方向へと帰って行った。
カインはレオに肩を叩かれ、王城へと帰って行ったようだった。
ノアとルナの二人は少し外で時間を潰し宿屋に戻ると、湯浴み用の桶とお湯にタオルを注文して各自部屋へと向かう。
部屋で暫く暇していると、宿屋の店主が湯浴みセットを持ってきたので裸になりタオルで全身を綺麗に拭いていく。
そこにドアをノックする音が響く。
「ノア。帰ってる?入ってもいいかしら?」
「ん? ミアか、良いよ。」
ドアが開かれミアが入って来る。
「え...」
「ん?」
ノアは湯浴み中で全裸になっているのだが、俯いたまま部屋に入って来たミアはそれに気付くのに遅れてしまったのだ。
「ちっさくてかわいい...じゃないわ、何で湯浴み中なのに中へ入れるのよ!」
「いいじゃん。減るもんじゃないんだし。」
「そりゃ、減らないけどさ。」
そう言いながらノアの小さなノアをガン見するミア。
「それで、どうしたの?」
「ええ、カインに結婚を申し込まれたわ。」
「そうなんだ。あ、さっきのやつ。」
「なんだ。見てたのね。」
「うん。ルナが興味津々だったからね。」
「ノアは? ノアは、興味...無いの?」
「...ん?」
「ノアは、私がカインの物になっても良いの?って聞いてるの。」
「ミアはそれで幸せになるの?」
「分からない。」
「ミアが幸せになるなら僕は嬉しいよ。」
「そ...う、なんだ...種族が違っても幸せになれると思う?」
「知らんよそんなもん。幸せなんて人それぞれなんだし。」
「そうよね...」
それから沈黙が場を支配する。
ノアは乾いたタオルで身体を拭き上げると、下着だけ履くとベッドへと寝転がる。
「それで、ミア。どうしたの?」
「うん、あのねノア。貴方が好き。長く生きてきたけど、初めて人族を好きになったわ。」
「ありがとう。」
「ノアさえ良ければ、一緒に私の故郷へ来ない?」
「...ごめんね。行けない。」
「私のこと、嫌い?」
「ううん、好きだよ。」
「でも、来てくれないの?」
「うん、ごめん。」
「...そう。分かった。楽しかったわ。ノア、またどこかで...さよなら。」
ミアは涙を流しながら、最後は無理に笑うと部屋から出ていった。
気が強くプライドの高い彼女だが、一緒にパーティーを組むうちに少しずつノアに心を開いていった。
そんな彼女がカインに告白されたことで、パーティーの解散を実感させた。
彼女も自分の思いをノアへ伝えることで、踏ん切りが付くと思い告白に至ったのだろう。
だが、実らなかった。
彼女は今からでも王国を出るだろう。
ノアに貰った、ネックレスを握りしめて―――。
なに? アンタまだブクマと評価★★★★★押してないの?
ねぇ...面白いと思ったら押してよ。いいでしょ?
―ミア―
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