Episode113
会話も弾み、食事も終盤へと差し掛かる。
デザートが運ばれ、各々が手を付け始める中国王が黒天へ話し掛ける。
「黒天の諸君は、何か聞きたいことや言いたいことは無いか?緊張故に口数も少ないと見えたが...」
このまま何事もなく終わってくれ。と願っていた四人に対して大きな試練がやって来た。
その問いに一つ深呼吸して心を落ち着かせたエリザベスが口を開いた。
「お一つだけ、お伺いしたいことがございます。」
「おぉ、其方はベンブルック家の愛娘だね。」
「冒険者としては初めてお会いいたします。エリザベス・フォン・ベンブルックと申します。」
「あぁ、君のことは良く知っているし、君のお父さんとは古い友人でね。昔から良くしてもらっているよ。」
「恐縮でございます。」
「それで、何か聞きたいことや言いたいことはあるかな?」
「はい、一つ。国王様やルーク王子様はノア様とはどういった関係なのでしょうか?」
「はっはっは。なんだ、知らなかったのだね。」
「ノア、君ってやつは...何も言ってないのかい?」
「ん? 言って無いもなにも、何か言う事あったっけ?」
・・・
「ハッハッハ」
「はぁ。」
王子は国王と顔を見合わせると国王は笑い出し、王子は肩をすくめてため息をつく。
「それじゃあ、何処から話そうか。先ずはお爺様の話からだね...少し長くなるよ。」
そう言ってルーク王子は食後の紅茶を飲みつつ、今は亡き英雄王である先々代国王の話を始めたのだった。
***
「それでは、この国の民に死ねと言うのですか父上!」
「そうは言っておらぬだろうが。」
「いえ、同じことです。」
「ちょっと待たぬか、カイン!」
怒りのあまり、謁見の間を飛び出す先々代の国王カイン。
今は未だ王子であり、国王の決定には従わなければならない。
だが、今回の決定には納得がいかず、異議申し立てをするもそれを却下されたのだ。
謁見の間を出ると、カインの護衛でもあり師でもあり友人でもある獅子の獣人族が壁にもたれてこちらを見ている。
「お、カインどうだった?」
「駄目だったよ。」
「そうか...」
「すまないレオ。王子でありながら君のたった一つの望みすら叶えてあげられないなんて。」
「いや、良いんだしょうがないさ。それで私腹を肥やす貴族も多いんだ。貴族の反対意見が過半数を占めてしまっては仕方が無い事だ。」
「そうだね、それでも父上は分かってくれると思ってたんだよ。シリウス王国の貴族の中で何人が悪事に手を染めているのだろうか。」
「さあな。取り敢えずいつもの酒場へ向かうか。ノアとルナにそれからお熱のミアもお前を待っている筈だしな。」
「やめろよ! 絶対に本人の前では言うなよ!」
「へいへい。」
「本当に言うなよ!」
カインはからかってくるレオにプンスカ怒りながら酒場へと向かった。
勿論もう★★★★★を押したよね?
ブクマもしてるよね?
ねぇ...?
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